Thanks!

□大事なこととは
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誰か、このオレの努力を認めてくれ。


「相棒!今日は雨が降るみたいだぜ!」
「……天気予報は降水確率0って言ってたけど…」
「と、とにかく今日は出かけるのやめた方がいいぜ!」

何故、こんなにも必死になって相棒を止めなければいけないのか。それには、長い長い事情があった。



「お、相棒、出かけるのか?」
「うん。ちょっとねー」
とある日の午後。スウェットのような部屋着ではなく、あからさまなお出かけルックに、もう一人の遊戯は鏡の向こうから話しかける。
「へぇ。城之内くんと約束でもしてるのか?」
もう一人の遊戯は、常に遊戯の会話を心の中で傍聴しているわけじゃない。
普段は自分の心の部屋に閉じこもり、日がな一日ゲームをしているらしい。たまに苦手なものがあったりすると変わってもらうこともあるが、基本一日を過ごすのはもちろん遊戯だ。
だから遊戯はもう一人の自分に会いに行く相手は城之内ではないことを教えてあげる。

「うーん、どれがいいかな〜」
さっきからウンウン唸りながら物色しているのは、シルバーのアクセサリー。
もう一人の遊戯は、相棒である遊戯が一生懸命めかしこむのを見るのが好きだった。一生懸命あーではない、こーではないと試行錯誤している姿はとても微笑ましいものがある。
「これなんかいいんじゃないか?」
「あ、やっぱキミもそう思うー?」
以心伝心に二人笑いながら、遊戯は選んだシルバーを腕にはめていく。華奢な腕に、いかついシルバーはとても重そうだが、それがまたベビーフェイスな遊戯の顔と妙にマッチしているのだ。
きっとこういうのを、可愛いと表現するのだろう。

「で、どこに行くんだ?」
こんなにめかしこんでいるのだから、きっとデートに違いないと思っていたのだが、相棒は思いも寄らない名前をその口から発した。
「んー、海馬くんの家だよ」
「…………な、ななな、何だってーーー!?」

バン!と机を叩いて…といっても触れないが、雰囲気は机をバシバシ叩きながらもう一人の遊戯は抗議する。


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