ゆめをみました。
きがついたら、きらきらひかるおそらにいて。
「やあ、遊戯くん」
だれ?
「僕は星の妖精さ」
よーせい?
「キミの願いを一つだけ叶えに来たんだよ」
おねがい?…いいの?
「もちろん。何でもいいよ。言ってごらん」
んー、んー
「中々決まらないみたいだね。欲しいものとか、好きな人のこととか、何か無いの?」
すきなひと……。みんなだいすき!
ママも、パパも、じいちゃんもあんずも!
「それじゃダメだよ。皆好き、なんて、本当の好きじゃないんだよ」
どうして?
「今の君には難しいかもね。じゃあ今度にしよう。また君が大きくなって、この意味が分かる時、僕はもう一度君の前に現れるよ」
…あ………
小さな頃に見た夢。
あの時のボクは、あの妖精が言っていたことが全然分からなくて。
変な夢を見た、と思っていた。
そして、ボクは成長した。
あの時とは比べ物にならないくらい。
「やあ、遊戯くん」
……あの時と変わってないね。
「いや?違っているよ。少なくとも、キミはね」
そうかもしれない。やっぱり、キミにはわかるんだね。
「ああ。で、決まったのかい?」
うん、まだおぼろげなんだけど…。きっとこれが一番、ボクが願っている願いだと思うよ。
「言ってごらん?」
『相棒!バスに遅れるぜ!』
『わー、ヤバイ〜!』
『走れ!相棒!』
『もう!キミが悪いんだからね!』
『オレは悪くない。きちんとノートは取ったはずだぜ』
『こんなエジプト文字だか筆記体だかわからないような字で何威張ってんの〜!』
『こっちの方がバランスがよくないか?』
『そうだね、じゃあこれは?どっちにする?』
『こうじゃないか?』
『あ、やっぱり? ボクも同じこと考えてた!』
『……あのね、ボク………やっぱりキミと…ずっと…』
『……相棒………』
ボクの願いは…
「さあ、キミの願いは?」
欲張りかもしれない。
卑怯かもしれない。
キミは、困った顔をするかもしれない。
でも
「さあ」
ボクの願いは……
『今』を…
『今』を
もう少しだけ。
もう少しだけ、感じさせて。
キミとの別れを考えないっていったら、嘘になる。
こんな願いをする時点で、考えてしまっているんだ。
でも、ボクは言うよ?
キミとの別れは、想像もつかないって。
だって、それがホントの願い、なんだから─
ふわ〜……。朝か。
『……おはよう、もう一人のボク』
『おはよう。もう一人のオレ』
『あのね、今日は帰りに城之内くんたちと〜…………』