*お宝お年賀話の部屋*

□浅見真織様のお年賀話
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『NEW YEAR』



お正月。
今日から一月、新しい年になる。
そんなめでたい…年の始まりのこの日に、なんで自分は恋人から遥か離れた空の下、仕事なんかしてるんだろう…
苛々と舌打ちしながら、だが手は休めずに。
何度も何度もでてくる溜息を、同僚がさすがに聞き咎めて眉を寄せた。

「どうした?サンジ。なんか苛々してるけど…」
「…ああ、いや。何でもねえよ」
「けど…」
「ほんとに何でもない…っと」

タイミングよくポケットに押し込んでいた携帯が振動し。
最後の一皿を手早く仕上げてしまうと、サンジは同僚に断って10分程の休憩をもらった。


届いていたのは、メールだった。
差出人の名前を見て、サンジの顔が綻ぶ。

『おめでとう。しんねんそうそうたいへんだけど、がんばれよ』

平仮名だけの短いメールだったが、サンジのささくれだった心を癒してくれるには十分で。
携帯と格闘しながら苦手なメールを送ってくれたゾロの優しさに、顔が雪崩を起こしてしまう。
メールを返そうとしてふと思い止まり、もうすでに指が覚えてしまったナンバーを押した。
数コールでゾロが出る。

『…もしもし?』
「…あ、俺。メールありがと」
『あー、いや…。ご苦労さん』
「新年早々、ゾロの愛を確認しちゃったよ。ほんっと嬉しい」
『…そんなつもりじゃ…』
「今年もよろしくな。今晩の最終で帰るから。そしたら一緒に、正月を祝おうぜ?」
『…ああ。今年もよろしく………待ってる、から』

そう言って、サンジが何か返す間もなく電話を切られる。
最後に小声で、早口で告げられたその言葉に再び顔を緩ませて。
帰ったらどんなご馳走を作ってやろうかと、帰りを待つ恋人に思いを馳せた。









END

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