*お宝お年賀話の部屋*

□H.A様からのお年賀話
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「なあ、どうする?」
新年早々暗い雰囲気のキッチンで、心優しい狙撃手が重い口を開いた。
「私のせいでサンジ君泣かせちゃったから、洗い物は私がするわ。」ナミが答える。

「いや、そうじゃなくて・・・。」
「こういうのは二人の問題なんだからほっときなさいよ。」
「まあなあ。」
「・・・でもちょっとサンジ君かわいそうよね、よしチョッパー、ゾロの元に行くの
よ!」
「えっおれ?・・・分かった。」


甲板で稽古に励むゾロの元に、チョッパーは向かった。
「おう。」
「今年はあんまり無理しちゃだめだぞ、ゾロ。」
「そりゃ無理な話だな。」
汗を拭きながらゾロが笑った。
「なあ、サンジ泣いてたぞ。」
「・・・まじかよ。」
「お雑煮まずかったのか?ルフィはおいしいって言ってたぞ。」
「いや、うまかった。」
「じゃあなんであんな言い方しちゃったんだ?」
そういいながらゾロを見れば、ゾロはとても複雑な表情をしている。
「・・・俺が子供だからだな。」
「子供?そうなのか?俺から見ると二人とも大人だぞ。」
「甘ったれたガキだよ。俺もあいつも。どうしようもねえ。悪かったなチョッパー、
心配かけて。コックの機嫌とってくるわ。」
そう言い放つ彼は、今まで見たことがないほど優しい表情だった。


年末年始、コックとしての仕事をこなしたサンジは、疲れに身を任せ床に倒れこみ毛布に包まっていた。
しかしこれだけ疲れているのになかなか寝付く事が出来ない。嫌な記憶も悩みも、一旦は忘れられるから寝てしまいたいのに。
きっと今寝たら初夢は最悪なんだろうな、ゾロに振られる夢とか、ゾロに嫌われる夢とかそんなのしか見ねえかも。
そんな事を考えていたらまた涙が出てくる。ああ、本当に最悪だ。みんなの前でも俺泣いてたし、まじ嫌われても当たり前かも。
そんなネガティブな考えを悶々と巡らせていると、突然部屋の扉が開いた。
今は誰とも話したくない。そう思ったサンジはひたすら目を瞑った。
「おい。」
ゾロの声だ。ああ、きっと誰かにさっきの醜態の話を聞いてきたのだろう。だけど話したくない。今話したら、心の中すべてを曝け出してしまいそうだ。
俺の、重い気持ちなんて、言っても迷惑なだけだ。いつもみたいに冗談ぽく好きだよなんて、今はとてもじゃないけど言えない。だから寝たふりをしよう。
「おい、寝てんのか?」
「・・・・。」
早く出て行け、今は話せる状態じゃない。そう祈り、ひたすら目を瞑る。早く、早くいなくなってくれ。
すると突然毛布の中にぬくもりを感じた。ゾロが入ってきたのだ。




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