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□カゲロウデイズ
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8月15日の午後12時半くらい
のことだった・・・

夏の真っ只中
天気が良すぎて・・・
というより、日差しが強すぎて
病気になりそうな天気だった

「あっ!?ヤッベー!!」
こうしてボーっとしている間も
彼女は僕を待っているのだ
彼女といっても幼なじみなだけで本当に彼女と言うわけでは
けしてない!

走って走ってやっと公園に着いた
「遅い!遅刻だよ?」
ビクッ!?
見てみると・・
ブランコの所に彼女はいた

肩で綺麗に揃えられた黒髪
華奢な体・・・
見惚れる・・とまではいかないが
校内で噂になる程度の可愛さは
兼ね備えていると思う!
・・・・・・・多分!

彼女の隣に僕は座り
日常の話など、他愛ない話をしていた
ふとっ彼女を見ると
いつの間にか猫を抱えていた
「可愛いでしょ?」
彼女は笑った屈託なき笑顔で・・

僕が返事をする前に彼女が言った
「でも、まぁ・・夏は嫌いかな」
猫を撫でながら彼女は
ふてぶてしくそう呟いた
「急にどうしたの?」
僕は尋ねた
「うんっと・・・・なんとなく?」
彼女の言葉が予想していたのと
まるで違ったので
拍子抜けした自分がいた
「はぁ?意味わかんねぇ・・」
彼女は笑った・・
今にも泣き出しそうな笑顔で・・

「あっ!?まって!!」
彼女が抱えていた猫が
逃げてしまった
猫を追いかけ君
何なんだか微笑ましくて
いつの間にか笑っていた
その瞬間!!!
嫌な予感がした・・・
はっと彼女と猫を見た・・・

猫が・・彼女が飛び出したのは
赤に変わった信号機だった・・
顔から笑顔が消え失せ
彼女に言葉を発しようと
した瞬間だった・・・
見てしまったのだ!
すぐ彼女の隣にある物を
彼女の存在に気付かずに
走っているトラックが
彼女の目の前にいることに

彼女の存在に気付いた
トラックがブレーキを踏む
でも・・・・
トラックが君を引きずって
泣き叫けんだ

信号機にトラックに僕に道路に
君の血飛沫が飛んでいた
トラックの後ろに
もともと君だった物体が
転がっていた
君の香りと血の香り・・・
混ざりあってむせかえりそうになった

「嘘じゃないぞ」
静かな声だった
振り返ると、自分と全く同じ姿の少年が笑っていた

夏の水色とは対象的な血の色・・
静かな世界の中・・・
蝉の音だけが響いていた
そう思っていると
その世界全てが眩んだ
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