水泳部のカナヅチくん!

□入学式に出るカナヅチ!
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「智也〜?智也〜!」

「うぇ…あふぅ…」

聡が智也の肩を揺すり、起こしている

しかし智也は全く起きずに寝入っているようだ

「こいつ…未だに爆睡グセは直らんのか…」

呆れたように聡は智也の胸ぐらを掴んだ

「起きろぉ!!!!海に突き飛ばすぞ!!!!!!」

胸ぐらを掴んだまま激しく揺さぶり、大声で叫んだ

すると智也はすぐに目を開けて泣き出した

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」

「よし、起きたな。てか、なんで泣いてんだよ」

聡は泣き出した智也を見て、不思議そうにした

智也はまだ怯えて縮こまっている

「だっ、だって海に突き飛ばすなんて言うからぁ….」

「冗談に決まってんだろ?ヘタレも直らないなお前は」

笑いながら言う聡を少し不機嫌そうに智也が睨む

「それより、着いたぞ。ここがお前の住むアパートだろ?」

車の窓を見ると昨日までの見慣れた景色とは全く違う、初めて見る景色だった

智也は興奮気味に車を降り、手に持ったパンフレットとアパートを見比べた

「うん、ここだよ!間違いない」

「よーし、じゃあ荷物は俺が全部入れておくからな。お前はやることあんだろ」

「え?何かある?」

智也の気が抜ける返事がまるで頭に刺さったかのように額に手を当ててため息をつく聡

「……入学式」

ボソリと呟くと智也は少し遅れてから思い出したように慌てだした

バタバタと右往左往している

「そうだった!今何時!?制服どこ!?学校までの地図は!?それよりどこで着替えよう!?」

パニック状態の智也に淡々と聡が答える

「まだ7時半だ。制服はトラックの中。地図は渡す。トラックの中で着替えろ。そして落ち着け」

肩を抑えされて智也はようやく落ち着いた

「あ…わかったよ。じゃあ着替えるね」

ヨロヨロとトラックの荷台に入る

わりと早く着替え終わり、トラックから飛び出してきた

「よいしょっ!」

グギリッ

着地失敗 足首から崩れ落ちた

「痛いよぉ…」

「あーあ、制服汚れてんぞ」

すぐに聡が駆け寄って起こし、制服を叩く

聡はかなり面倒見が良く、近所にいた頃も小さい子にも世話を焼いていた

「ありがと….」

「どんな運動神経してんだよ」

「ほっといてよ…もう行くね」

「おう!頑張れよ!」

バシっ どちんっ

背中を押されて智也が再び地面に付いた

「あぁ!マジかよ!」


初めから不安満タンで智也は登校して行った

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