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□鳳長太郎の溺愛
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「ちょうたろう...」
宍戸の口から出た言葉は、熱を帯びていた。
無意識にトイレのドアノブに手をかける。
鳳の熱っぽい吐息に誘われるように。
カチャッ。
ノブが回った。
どうやら慌てていた鳳は、鍵をかけるのを忘れたらしい。
宍戸は思いきってドアを開けた。
「長太郎...」
「しっ、ししし宍戸さんっ!?」
宍戸は後ろ手で扉を閉めると、静かに鍵をかけた。
誰にも邪魔されたくない。
そう思った。
鳳の家のトイレは広く、二人が向かい合うように立っていても、十分な余裕がある。
鳳は剥き出しの下半身にハッとすると、慌ててズボンと下着を引き上げた。
「ど、どうしたんですか?」
どうしたもこうしたもないが、好きな相手に自分の恥ずかしい姿を見られ、鳳は内心パニックになっていた。
宍戸はさっと隠された鳳の下半身から目を離すことなく、黙ってじっと見つめている。
沈黙が重い。
とっさに下着とズボンを上げたはいいが、未だに立ち上がった自身のせいで、チャックを上げることができずにいる鳳。
「ししど、さん?」
黙ったまま、じっと自分の下半身を見つめる宍戸に、鳳が不安げに呼びかけた。
鳳の呼びかけに、宍戸はようやくその下半身から目を外し、鳳と視線を合わせた。
「長太郎...」
囁くほどの小さな声。
鳳は、再び下半身が疼く感覚を覚えた。
宍戸がちらりと自分の唇を嘗めた。
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