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□鳳長太郎の不安
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最近の宍戸さんは、俺が目を見張るほど積極的だ。

何に積極的かと言うと、セックスにおいてだ。
宍戸さんと初めてセックスをしたのは二ヶ月くらい前のこと。
初めてのセックスは、それこそお互いにやり方とか必要な物とかは各々調べてはいたけど、タイミングも性感帯もわからなくって、俺はともかく宍戸さんの方は気持ち良さよりも痛さが勝っていたと思う。
俺はもう、大好きでたまらない宍戸さんとできるってだけでイきそうな勢いだったけど、受け入れる側の宍戸さんは、体はもちろんのこと、精神的にも大変だったんじゃないかな。
元々女々しいところなんて一切ないような人だし、正直抱きたいって望んではいたけど、言ったところでまずは拒否されるだろうなとも覚悟していた。
「あ?俺に女役やれって?」くらいは言われるだろうなって。
でも、付き合って半年くらいして、俺が「宍戸さんを抱きたいです」って勇気を出して伝えたら、真っ赤な顔して「そうか、いいぜ」と照れながらもあっさり受け入れてくれた。
あの時の宍戸さんは、ほんっと最強にかわいかった。
今思い出しただけでも、下半身が反応してくる。
宍戸さんが俺に抱かれてくれるって思ったら、もう初体験の半分は済ませたような、そんな高揚した気分だった。
その後の俺は、できるだけ宍戸さんに負担をかけまいと、ネットでエッチなサイトを読み漁って、男同士のセックスの仕方のノウハウをたくさん仕入れた。
そして、ローションとかコンドームなんかも手に入れた。
今はネットで買い物できるから、本当に助かる。
なんとか初体験を済ませることができた俺と宍戸さんだけど、その後宍戸さんの方からお誘いをかけられることはなかった。
それは当然の結果だと思う。
俺なんて自分の性欲に支配されて、宍戸さんの体を気遣うどころか、ゴムをつけるのさえ忘れて突っ込んでしまう失態を犯したくらいだったし。
今思い出しても、あの時の自分にスカッドサーブを打ち込みたいくらいだ。
やっぱり相当痛かったし、辛かったんだろうな...と思って、俺も自分の欲求を押し殺していた。
たまに我慢できなくって、キスしたり宍戸さんの体を触りまくったりはしたけど...。
そんな俺と宍戸さんだけど、その後何度かセックスした。
俺が我慢できなくなって誘いをかけると、宍戸さんは真っ赤な顔してOKしてくれる。
嫌がる素振りも、焦らす素振りもせず、こくんと小さく頷いてくれる。
あぁ、そんな宍戸さんもめちゃくちゃかわいいんだよなぁ。
駆け引きとかできない宍戸さんが、俺には擦れてなくて、ほんっと奇跡のような存在に思える。
「宍戸さん、好き...」
耳元で囁くと、宍戸さんが俺にぎゅっと抱きついてきてくれる。
それが嬉しくて、俺は宍戸さんとセックスする時には何度も何度もそう伝える。 
そうすると宍戸さんも俺の耳元で「俺も、すき、」って囁いてくれる。
普段は照れて言葉にしてくれない宍戸さんだけど、セックスの時は違う。
いつもの分も合わせてくれてるのかな、たくさん好きって言ってくれる。
たくさん俺の名前を呼んでくれる。
それがすごく嬉しいんだ。
宍戸さんを抱ける喜びと、宍戸さんの気持ちを伝えてもらえる喜びと。
俺はなんて幸せなんだろう。
でも、宍戸さんが最近セックスに積極的なのは、どうしてなんだろう?
嬉しいけど、なんだか少し、不安なんだ。
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