パラレル

□コーヒーショップ@
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「いらっしゃいませ」
俺は今、駅前のコーヒーショップでアルバイトをしている。
カフェじゃなくてコーヒーショップ。
カフェよりも、価格も雰囲気もお手頃感がある。
利用者のほとんどは、この駅の最寄りにある高校の学生だ。
だから、いつも店内は賑やか。

「ブレンドのMお願いします」
この子は最近よくお店にやって来る男の子。
スラッとした体つきに、長く伸ばした黒髪が目を惹く。
切れ長の目が意志の強さを感じさせる。
この子が来ると、店の女の子達が途端に色めき立つ。
バイトの女子達も、この子に応対したいもんだから、お互いの牽制が酷い。
それを見かねた店長から、最近は俺が応対するように言われてる。
「はい、かしこまりました」

「ししどー、席こっちー」
彼の友達がジュースを片手に大きく手を振って、合図をしている。
『宍戸』と呼ばれた彼は、手を上げて返事をすると、俺からコーヒーを受け取ってそちらへ行ってしまった。
宍戸くんって言うんだ。
ちょっぴり胸がキュンとした。
気のせいかな。
でも、最近では宍戸くんが店に来ると、テンションが上がる自分がいるんだ。
この気持ち、なんなんだろう。
 

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