短編棚M

海常と最年長姉さん!
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「そういえば黄瀬って、近くのバスケ部の奴らと
 一緒にアパート住みなんだよな? どんなとこ? 楽しい?」
「え。」


そう森山先輩に聞かれて、言葉をなくしたのはほんの一瞬だった

合図をしたわけでもないが、笠松先輩と目が合う
それで小さく頷き合って


「アパートっつかマンションで、そりゃいいとこっスけど・・・
 森山先輩はぜってー連れてかないっスわー」
「住人じゃねぇけど 俺でも連れていかねぇな」
「え!? なんで!? 俺にはそんな合わないとこ!?」


勿論森山先輩本人は、その気なんてサラサラない。

「黄瀬の住んでるとこはいいとこか」
他の意味なんかなく、ただ普通にそう聞いているだけだ

・・・しかししかし しかしだ。
この森山先輩は可愛い女子に目がないという性癖持ち

うちの女性陣、まぁリコさんや桃っちは
対戦校ってこともあって、森山先輩とも面識あるけど・・・・

紅咲っちにだけは会わせたくない。 ゼッタイ。


「っと、とにかく 森山先輩にはまだ早いっス!!」
「なんだそれ!? 1年にそれ言われる俺は何!?」
「グダグダ話す前に足動かせ! オラ走れ!」







そんなに、そんなに極力気をつけていたのに。


「俺とイルミネーション見に行きませんか!?」
「ありがとうございます。 ご注文は何にいたしましょう?」
「貴女との時間を是非!」
「・・ありがとうございます?」


目の前に広がる光景は一体なんなんだろう

額に手の平ついて、大きく溜め息を付く。
笠松先輩は隣で唖然としていた。

困り気に笑いながら森山先輩の話を流そうとする紅咲っち


「紅咲さんというのですね! 下の名前伺っていいですか?」
「桜と申します」
「桜さん! 可愛らしい名前ですね!
 あぁ、貴女との出会いはきっと神様が与えてくれた運命・・」
「森山先輩!!」


紅咲っちの手をさらっと握り、
ヒートアップしそーな展開に、思わず口出し。

森山先輩は紅咲っちの手を握ったまま、
紅咲っちは握られたまま、「あ」という顔で俺と笠松先輩を見た


「なんだ、黄瀬と笠松じゃないか
 可愛い従業員さんにデートのお誘いしていたのに」
「初対面の人にそーいうことすんなっつってんだろが!」
「ほんとっスよ! 困ってるじゃないですか、もー!」


ずんずんと歩き出して森山先輩と紅咲っちの間に入って、
2人をべりっと引き剥がす。

紅咲っちを隠すように紅咲っちの前に立って、
テーブル席に座る森山先輩の前に立ちはだかった。

隣で笠松先輩が紅咲っちに小さく会釈をする


「え、と 桜さんすんません。 うちの同輩が迷惑掛けて」
「あ、ううん やっぱ噂の森山君だったのね。」
「えぇ、まぁ・・・その・・・・こういう奴です」
「笠松 なんだそのフォローは!?」


食いつく森山先輩をどうどうと抑えて席に座らせる
森山先輩は「あれ?」と何かに気付いたように疑問符を浮かべて。


「てか、え? 2人とも桜さんと知り合い?」
「俺は、まぁ この店の常連みたいなものだから」
「そうだったの!?」
「俺はー・・・・えーと、」


口ごもらせる俺に、俺の後ろから少し顔を出した紅咲っちが代弁


「黄瀬君とは同じマンションの住人だから、ね。」
「そうだったのか!? 教えてくれりゃいいのに!」
「だって森山先輩、そうやって紅咲っちに口説くでしょ 絶対!!
 俺らの紅咲っちはそんな安くないんスよ!!」
「なんだそれ!?」

「それはさておき、そろそろご注文決めてほしいなぁなんて・・」
「あ。」
「あ、」
「森山、奥行け 座れねぇ」



(ちょっ、森山先輩メニュー取って、メニュー!)
(俺アップルパイとカフェオレ)
(はい。 笠松君はアップルパイ好きだよね)
(うめぇんだよ、ここの)

(笠松が女子相手に戸惑ってない・・・だと・・!?)
(や、 多少緊張はするけど、桜さん怖くねぇし)
(この笠松の反応に桜さんは?)
(え、ビビられないに越したことはないんじゃない?)





 

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