短編棚M

過去拍手
3ページ/8ページ






※緑間がマンション入居直後
※高尾はまだ入居前

※キセキマンションの夢主が
 もしも秀徳卒業生だったら っていう話





「・・・お」


背の後ろで手を繋いで、どこだったっけなー と。
1階職員室前を歩いていた時、ふとそれは目に入った。

青と緑と海と山の絵。

その絵の下には、去年の年と3年 紅咲桜 と
プレートにデジタル文字で書かれている。

キーンコーンカーンコーン、と
耳に届いたチャイムの音も酷く懐かしく感じた。

ざわつき始める階段や、上の階の廊下。
未だ目に映るその絵は、前より色褪せたようにも見えた


「・・・・紅咲?」
「へ?」


最近聞いたばかりのような声。

絵から目線を外すと、この間入居したばかりの緑間君。
因みに左手に湯たんぽ。(そういや今朝用意してたなー)

と、その隣に居る頭の後ろで腕を組んでいる黒髪の男子。
多分1年。 って、今はいいや


「そっか。 秀徳って緑間君の通う学校だったっけ」
「あぁ。 ・・・お前はどうしたのだよ?」
「私ー? 暇潰し、っていうか」


少し絵を視界に入れて・・・言いかけてやめた。
正直自分でもくだらないなと思ってたし。


「暇潰し・・っていうか?」
「ただの暇潰し。」
「っぶ、ただの暇潰しで秀徳来るって・・!
 おねーさん何者!? っく、ぷぷ」


口元に手を当てて、笑いの堪えている黒髪の彼。
・・・あー、そういえば秀徳 この辺じゃ難易度高かったっけなぁ

スッカリ忘れていたや


「っつーか! 真ちゃんと女の人と知り合いの時点で
 何者!? って思ってたけどね! 何、年上の彼女さん?」
「断じて違う!」
「あ、即否定されちった」


そう言ってまた軽く笑う黒髪の彼を見て。
緑間君の意外な一面を見たような気が。

・・・・しないわ。

そう心の中で適当に決着つけてると、
後ろの職員室の扉がガラリと開き、その音に振り向いた


「あら、紅咲さん。」
「島崎先生。 お久しぶりです」
「お久しぶりね。 随分前より大人びて見えるわ」
「接客の仕事してるからでしょうか?」


微笑む島崎先生は私が高2、3の時の担任の先生。

面倒見よくて人当たりのいい先生で、凄く好印象だったし
最後まで期待を裏切ることもなかった。 素晴らしい先生だと思う。

ゆったりしてるとこがあるけど。


「せんせー。 先生このおねーさんの知り合い?」
「先生の去年までの教え子です。」
「教え子ォ!?」


そう言ってこちらをバッと振り向く黒髪の彼は
本当に驚いたような顔をしていた。

あれ、 もしかして緑間君も驚いてる?


「じゃぁ秀徳の卒業生ってことで・・
 実質俺らの先輩? 真ちゃん、知ってた?」
「・・・知らなかったのだよ。」
「ありゃ。 言ってなかったっけ」


赤司君達には既に言ったような記憶があるけど。
そうか、緑間君まだ言ってなかったか


「紅咲さん。 今日来るとは聞きましたが、急にまた何故?」
「あー、その。 絵を、見に来ただけなんです」
「絵・・・?」
「もしかして、この海と山の絵っすか?」


黒髪の子が人差し指を指した方向には、
さっきまで私が見ていたその絵。


「うん、そう。」
「これ描いたの去年の卒業生らしーなー
 どんな人だったんだろ」


絵の真ん前に立ち、絵を見上げる黒髪の子と
その絵を描いた人の名前が描かれているプレートを見る緑間君

黒髪の子の発言に、島崎先生と私は思わず顔を見合わせて。
・・・小さく笑いあった。

目の前に居るんですけど。 その卒業生


「・・・・もしかして、これ」


名前プレートを指で沿って、私を見る緑間君。


「あ、気付いた?」
「何々、 何が?」


信じられない と言った目で緑間君は私を見た。
その私は顔の横でブイサイン。

理解できていない黒髪の子と。

その様子を見た島崎先生が、
堪えられなくなったかのように小さい声で笑い出した


「ふふ、高尾君。 目の前に居るでしょう
 その絵を描いた、卒業生が」
「え? は?」


「高尾君」と呼ばれたその男の子は、ばっと後ろを向いて
島崎先生と私しか居ないのを見て。

んで。 無言で私を指差した


「・・・お姉さんが描いたの!?」
「当ったりー 紅咲桜です」
「・・・紅咲に・・そんな特技があったとは・・・」
「紅咲『先輩』でしょう、緑間君」


ちょっと怒り目の口調の島崎先生に、
短く「すみません」って返した緑間君。

と。 何か私をガン見してる彼。
・・・睨まれてはいない。 めっちゃ観察されてるだけ、うん。


「ねぇねぇ、真ちゃん・・あ、緑間のことね。
 緑間とおねーさんってどういう関係?」
「緑間君との関係? どうって、」
「同じマンションに住む者同士ってだけなのだよ」
「ね。」


顔を見合わせたら、彼はやたら興味深そうな声で
「・・・へぇ」って呟いた。 何だ。 その気になる声

その後、「高尾君」と呼ばれた男の子は。


「♪ 俺いーこと思いついちゃった」
「?」


ニィ、と唇を吊り上げて笑うのだった。

疑問符しか浮かばない緑間君と私。

この2週間後、突如として私達のマンションに彼が現れることは。
きっと誰も予想していなかったことでしょう。





(桜ねーさん、今日からよろしくお願いしまっす☆)
(ん、よろしく。 にしても急・・・過ぎ、る。
 ・・・ところで、その、ねーさんって?)
(いろいろ呼び方試してみたんすけど。
 この呼び方が一番しっくり来たんで、これで行きます)
(ん、ん? まぁ許す。 いいよ、好きに呼んで)

(そういえばこのマンションに入居してる他の人達は?)
(今日は皆、ストバスしに行ってるよ。 夜まで待ってて)
(ういっす(ん? ・・・ストバス?))
(私以外、皆高校生だし きっと仲良くできるよ)







if.卒業校が秀徳だったら で、
キセキマンションを書きました。

1月中旬の、キセキ7人で夢主を(ry)の時から
考えてたネタですので、やっと書けて満足です・・・


拍手ありがとうございました!

急に更新ゆっくりになりましたが、
フラッと立ち寄っていただけたら幸いです!



設置期間 3/22〜4/23





 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ