短編棚

ヒッキーな幼馴染と俺の話
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「ねーねー、桜ー」
「んー?」


毎度の如くダイニングテーブルの椅子に座り、
パソコンと睨めっこしている幼馴染の姿。

テレビの前のソファに座っている俺は一瞬だけ
桜の姿を見てから、テレビに視線を戻した。


「黄瀬君ってゆーキセキの1人で、モデルやってる奴からー」
「うん」
「お前の顔が見たいというご希望あるんですけどー」
「・・・・なんて?」


ヘッドホン外して、ソファに座っている俺に視線を変えた桜。


「だから黄瀬君がお前の顔見たいってご希望が」
「あぁ、あのキセリョっていう・・・は?」


ちょっと待って、もう少し詳しく。

と言い、椅子から俺の座ってるソファの隣まで
歩いてきた桜は相当事態が理解してないらしい。


「だから昨日ねー、黄瀬とメールしてたら、うっかり桜が
 ボカロPだってこと晒しちゃって。
 しかも黄瀬は桜の大ファンなんだと」

「・・・あの黄瀬君がですか」
「そ。 幼馴染だって言ったら顔写メプリーズ言われたんだけど」
「解せない」







「で、送っていい?もしくは今撮るか」
「・・・どちらにしろ1人で写ってるのはやだ」
「えー、でも俺のフォルダお前1人の奴しか」
「却下」


ふい、と顔を背けた幼馴染に
まぁそう言うなってー、と苦笑い。

1人で写るのは嫌ってことはー、あ。


「じゃーさ、俺とツーショット! どーよ!」
「何故にドヤ顔」
「名案だろ」
「・・まぁ、いいんだけど」


1人はダメで俺とはいいのか。
未だ使用しているガラケーをズボンのポケットから引っ張ってくる。

そんで桜を手招きして、近づいた桜の肩を少し寄せた。


「、近くない?」
「画面に入んなくない?」


若干見上げるようにして俺の顔を覗き込む桜。
いいんだけど、と呟いてから桜はいつもの目線に戻した。


「ん、じゃー撮るぜー」
「ん」
「はい、チーズ」


・・・・・

桜の肩越しにピースして、ウィンク(無意識)した俺と、
薄く微笑んでる桜が写っている。


「見て、超仲良さそう」
「和成がメインみた、」
「言わせねーよ! 黄瀬にも!」





黄瀬クンと幼馴染と俺





 
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