短編棚
□ヒッキーな幼馴染と俺の話
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「ねーねー、桜ー」
「んー?」
毎度の如くダイニングテーブルの椅子に座り、
パソコンと睨めっこしている幼馴染の姿。
テレビの前のソファに座っている俺は一瞬だけ
桜の姿を見てから、テレビに視線を戻した。
「黄瀬君ってゆーキセキの1人で、モデルやってる奴からー」
「うん」
「お前の顔が見たいというご希望あるんですけどー」
「・・・・なんて?」
ヘッドホン外して、ソファに座っている俺に視線を変えた桜。
「だから黄瀬君がお前の顔見たいってご希望が」
「あぁ、あのキセリョっていう・・・は?」
ちょっと待って、もう少し詳しく。
と言い、椅子から俺の座ってるソファの隣まで
歩いてきた桜は相当事態が理解してないらしい。
「だから昨日ねー、黄瀬とメールしてたら、うっかり桜が
ボカロPだってこと晒しちゃって。
しかも黄瀬は桜の大ファンなんだと」
「・・・あの黄瀬君がですか」
「そ。 幼馴染だって言ったら顔写メプリーズ言われたんだけど」
「解せない」
*
「で、送っていい?もしくは今撮るか」
「・・・どちらにしろ1人で写ってるのはやだ」
「えー、でも俺のフォルダお前1人の奴しか」
「却下」
ふい、と顔を背けた幼馴染に
まぁそう言うなってー、と苦笑い。
1人で写るのは嫌ってことはー、あ。
「じゃーさ、俺とツーショット! どーよ!」
「何故にドヤ顔」
「名案だろ」
「・・まぁ、いいんだけど」
1人はダメで俺とはいいのか。
未だ使用しているガラケーをズボンのポケットから引っ張ってくる。
そんで桜を手招きして、近づいた桜の肩を少し寄せた。
「、近くない?」
「画面に入んなくない?」
若干見上げるようにして俺の顔を覗き込む桜。
いいんだけど、と呟いてから桜はいつもの目線に戻した。
「ん、じゃー撮るぜー」
「ん」
「はい、チーズ」
・・・・・
桜の肩越しにピースして、ウィンク(無意識)した俺と、
薄く微笑んでる桜が写っている。
「見て、超仲良さそう」
「和成がメインみた、」
「言わせねーよ! 黄瀬にも!」
黄瀬クンと幼馴染と俺