短編棚
□ヒッキーな幼馴染と俺の話
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「ほらね」
夕方、ストバス場のコートの上に立つ俺と真ちゃんを、
ベンチで見ていた桜は、突然短くそう言った。
「どしたの?」
コート中央辺りで振り向くと真ちゃんも同じ方を向いた。
え? と、とぼけたように短く笑う桜は、割と見ない表情だったり。
ベンチにもたれて腕を組んで、んーと唸りながら口を開いた
「いやね。 言葉にはしにくいから言わないんだけどね」
「そー言って、お前いっつもはぐらかすからなー」
桜の座るベンチまで歩いて置いてあるスポドリを手に取る。
「言えないこと?」
「そんなことはないけど、」
桜の視線は、未だコートの上でシュート練している真ちゃんで
「バスケしてる2人は綺麗だなって」
「・・・・」
「あれ、真ちゃん何で一瞬固まったの? え? 何照れた?」
「五月蝿い」
あははと笑いながら、でも、と繋げた桜に
真ちゃんも俺もそちらに視線が向く。
「実際は綺麗なんて言葉じゃ表せないけど」
微笑んだお前の方が綺麗だとか それこそ言えねぇわこれ
目を細めた彼女と俺ら