WT短編

□#ワートリプラスまとめ
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影浦雅人




雨宿りらしい影浦君の姿に思わず声を掛けてしまった。
「送ろうか?」
「……あー……」
渋られた。
そういえばなんか能力あるのか、軽率だったかも。
「……いや、いいわ、よろしく」
彼、屈んで傘に入ってきた上に傘奪われた。
#ワートリプラス
「いいの?」
「言い出したのそっちじゃねーか」



見た目が怖くて疎遠だったが北添君と居る時の楽しげな表情が印象的だった。
「(あ、)」
廊下を歩いて教室の前を通る猫背気味の彼。
「気になる人でも居んの?」
「影浦君」
「ほほ〜う?」
「はっ……い、いや今のは違!!」
「おい当真教科書貸せ」
「!!」
本人登場、心臓に悪い。
#ワートリプラス



「おい」
「ひゃぁ!?」
「なんつー声出してんだ」
「あっ、か、影浦く、」
ドッドッドッと脈打つ心臓を抑えて振り返る。
突然呼ばれると驚く、
「毎度ビビられちゃ話しかけづれーだろ」
「うっ、ごめんなさい」
「……だーっもう!!」
「!?」
#ワートリプラス
もどかしいったらありゃしねぇ!



想い人と偶然コンビニで一緒になった。
ハピコとメロンバーを両手に持ち悩んでたら頭上から声。
「それ2つで迷ってんの?」
「アイスは1日1個なんです」
「良い子かよ」
影浦君は私の手からひょいっとハピコを奪った。
「半分やる」
「え」
「1.5個ならセーフだろ」
成程。 成程!?
#ワートリプラス



「おめー最近刺し方変わったか?」
「えっ、あ、ご、ごめん?」
心当たりがありあからさまに動揺してしまった。
「嫌、だった?」
「や、別に。 珍しー刺し方だけど悪くねぇ」
あ、せ、セーフ。
ほっと安堵すると今度は凝視された。
#ワートリプラス
「……いや、まさかな……」
……まさか、何?



入学式を終えた矢先カゲは蟹股でしゃがみ込んだ。
「…………酔った」
「入学式の度にこれ見てるな」
「昔から見られてんな……」
息を吐くカゲの視線が私に映る。
「おめーの刺し方は甘ったるくて酔う……」
「え、ごめん」
「後にしろ……」
「何を?」
「無自覚かよくそったれ……」
「離れた方がいいならそうする」
自分のせいで不快というのは流石に嫌だ。
だから私の感情が酔うと言うなら被弾多い数日だけでも、という提案だったが、
カゲは顔も上げずに手を空中に泳がして私の手を探し出すと弱い力で掴んだ。
「行くな、」
「ん、分かった」
「……居ない方が困る、」
#ワートリプラス



「うお」
「わっ」
ぐらりと傾いて視界が反転、
どさりとソファに受け止められて目を開けたら影浦君が覆い被さるみたいになってた。
すぐに何か喋ればマシだったはずなのに驚きと緊張と羞恥で声が発せず妙な時間が空いてしまって変な空気。
…………え、この空気どうしたら、
「(何言えばいいのてかなんで影浦君喋んないし動かないの顔近いし恥ずか)」
「……刺し方がうるせー」
「ごめんなさっ、んぐ!」
ぐっと乱暴に口元を手の平で塞がれた瞬間視界にちらつく黒髪。
口元を塞ぐ手越しにリップ音を聞いた。
#ワートリプラス
「これで勘弁してやる」
「……!?」
わ、悪い男だ!



最近教室にカゲ目当てらしい女子の出入りが増えた、聞けば自隊のオペらしい。
「可愛いじゃん、付き合ってるの?」
「ざっけんな、アイツ選ぶくらいならおめー選ぶわ」
「え?」
彼はぱっと口を覆い、流れるようにうつ伏せた。
#ワートリプラス
「忘れろ」
「無理待って自惚れていいの?」
「忘れろ」



カゲに告白された。
嘘だぁと思ったが本気らしい。
ずっと友達だからなぁ、今更恋愛で見るとか……
悶々と悩んでいたら力強く引っ張られた。
当然体勢崩して彼に受け止められる。
あ、顔ちか、
……目の前の顔がにんまり笑った。
「ようやく意識したな」
か、感情受信体質。
#ワートリプラス



最近彼が私をまじまじ見ていく。
というのも先日緊張感無しで私が告ってからなので原因は私にあるのだが。
「……何考えてんだよ」
「私が原因で悩むカゲ可愛いなーって」
「うるせー噛み付かれてーのか」
「えっ」
爪立ててがおーと軽い威嚇。
「よ、よよ喜んで??」
「喜ぶなよ」
#ワートリプラス



欠伸したカゲがごろりとベッドに寝そべった。
寝るの?
なんとなく見つめてたら瞑られてた目が開いて手招きされた。
……本当に応えていいのだろうか。
警戒していたら「まだなんもしねーよ」とだけ言われた。
……まだ、って、なんだ。
#ワートリプラス
恐る恐るベッドに乗り上がった。



学校帰りにタメ3人で影浦隊作戦室に入室。
「あちー」
未だに長袖で腕捲りなカゲが不意にシャツのボタンを外しだしてぎょっとする。
その視線が刺さったのかしっしっと手で追い払われた。
「見んな」
#ワートリプラス
「ひ、光の前で着替えないでね!?」
「おいゾエ、コイツ回収しろ。 邪魔だ」



夕飯どうしようと呟いたら「20時に店来い」と誘われた。
嘘やだ珍しいと思いながら快諾したけどバタバタして到着はギリギリかも。
店の前に立つ彼のシルエットを見つけた瞬間向こうも気付いた。
「おせぇ」
「ごめーん!」
でも彼待ち合わせの時っていつも先に居るんだよなぁ。
#ワートリプラス



「カゲ、暇」
「うるせー晩飯でも考えてろ」
うわ、冷たい。
晩御飯かぁ……あ、最近かげうら行ってないな。
「……かげうらのお好み焼き食べたい」
会心の一撃!
ピーン、と閃いた顔で告げたらカゲが机ばっしーん叩いた。
「おめー俺から意識変わってねーんだよ!!」
怒られた。
#ワートリプラス



うーん、完全に煮詰まった。
作業の手が止まり溜息と一緒に背伸び。
「終わったか?」
「だめ、続かない」
「ならちょーどいいわ、付き合え」
「ん?」
「コンビニ」
なんか奢ってやる、と財布を宙に浮かせたカゲ。
「息抜きにはなんだろ」
#ワートリプラス
「是非ご一緒させてください!」
「かてぇ」



告白して付き合えたはいいがまだまだ緊張する。
帰り道に不意に呼び止められたかと思ったらぐっと顔近付けられた。
思わず口元を手で覆う。
そ、それはまだダメ。
……物凄く不服そうに顔顰められた。
#ワートリプラス
「言っとくが俺ぁ我慢強い方じゃねーかんな」
「……し、知ってる……」



「あー……」
「?」
「やっぱ考えんのは性に合わねーな」
何の話をしているのだろう、
つい最近恋人という関係になった彼の発言を不思議に思えば手招きされた。
数歩近付くと男の手ががっちり肩を捕まえ引き寄せる。
「!?」
ギザギザの歯が視界に映、
「無防備」
あ、ふぁーすと、
#ワートリプラス



腹に回った腕ががっちりホールドして引き寄せられる。
「ぎゃっ」
「色気ねー悲鳴」
「ちょ、カゲ…っ」
「色気ある声なら食っちまうが」
声を発す前に唇が塞がれる
「……」
「んだよ」
「色気なくてもキスするじゃん…」
「……男が言う『食う』の意味分かってんのか?」
「……!?」
#ワートリプラス



流石の彼でも考えてる内容までは読めないのでは?
背後から近付いて彼の愛称を呼ぶ。
振り向かない。
ソファに置こうとした手をぐっと引っ張られて体勢を崩す、と、
がぶりと唇に噛み付かれた。
#ワートリプラス
「俺に不意打ちしようなんざ百年はえーんだよ」
「……来世か……」
「あぁ?」



呼び止められた矢先に抱き寄せられて背中にぴっとりとカゲが張り付いた。
「たまにこうするよね」
「おめーしか感じないから好きなんだよな」
誰も居ない密室での密着…………
感触も、刺し方も、ということか。
気付いた瞬間ぶわっと熱くなった。
#ワートリプラス
「ぶはっ、今更かよ」
「……」



真ん中の緊急脱出マットは自分の転送先だが、何故か彼女が寝転がっている。
……今作戦室だからいいものの落ちて来たらどうすんだコイツ。
呆れ混じりに雑に頭を撫で、顕になっている首筋に唇を落とした。
#ワートリプラス
「ふ〜ん?」
「ゾエてめー見てんじゃねー!」
「彼女起きちゃうよ」



付き合いだしてから暫く経った頃、彼が考え込む様子の時が増えた。
「たまにおめーからの刺し方が変わる」
「どういう時?」
そんな変な感情抱いてたかな。
「……キスん時とか」
「ごふッ」
動揺がモロ表に出て咽た。
#ワートリプラス
「合わせてやるから教えろ」
「や、ち、ちょっと、待って?」



挨拶する間もなく目が合った瞬間引っ張られた。
人気のない場所に来て早々手首を壁に縫い付けられて肩に彼の頭が乗る。
「どしたの?」
「……別に、なんも」
んなわけ。
軽く疑えば小さい声。
「……の」
「うん?」
「俺のもんだろ」
「う、うん?」
これは妬かせてしまったのか?
#ワートリプラス



友愛と恋愛の感じ方は違うのか、疑問に思い聞いたら分かるらしい。
「基本的に甘ったるいけどおめーのだけは唯一刺し口が若干痺れる」
「……カゲを恋愛的に大好きすぎるのは私だけってこと?」
「……あー、違うけどそれでいいわ」
「!?」
#ワートリプラス
おめーだからだよとは言えなかった。



刺さるせいだろうか、付き合って暫く経った今でも彼の寝顔を見たことがない。
「寝ねーの」
「今日は雅人の寝顔見てから寝ようかな」
「それは俺の特権だアホ」
「寝顔見れたら今日はよく眠れる気がする!」
「見てなくてもおめーはぐっすりだよ」
「ぐぅ」
「おら寝ろ、おやすみ」
#ワートリプラス



最近彼が冷たい。
文字のやり取りだと普通だけど、顔を合わせると心なしか避けられてる気配すらある。
「悪いことしたかな……」
「あー……いや別にお前は悪くないな」
「だってカゲ『くっそあめーのに耐えらんねぇ……』って言ってるし」
「えっ」
「どう聞いても惚気だろこれ」
かー、と熱が集まってきた。
嘘、彼惚気るの?
「オイおめーら変なこと言ってねーだろな」
「あっ本人」
「逃げろ!」
逃げ足早っ。
「……」
「……」
「あいつらなんて?」
「や、べ、別に、何も」
「嘘下手くそかよ」
「わ、悪いことは言われてない」
「それは言われなくても分かるっつーの」
#ワートリプラス



カゲが漫画に夢中で暇だ。
もういい不貞寝だ不貞寝。
カゲに背を向けて瞼閉じたら間もなく肩引っ張られた。
「おい」
「何よも〜……」
動かされるがまま寝返りを打っ、たらキスが1つ落ちてきた。
#ワートリプラス
「……こっ、こんなんで機嫌直ると思わないでよ……」
「直ってんだろ」
惚れた弱み



先程からカゲが私の脚を見てる。
もぞり動いたかと思えば不意に爪である1箇所を引っ掻き出した。
「そこ触んないで〜痒い」
「……虫刺されかよ」
「なんだと思ったの?」
こんなとこに痕付けたっけかと考えた。
#ワートリプラス
「あっ、見てよ同日内腿にも刺されたんだけど」
「見せなくていい」



俺のどこが好きなんだと聞かれたのでいくつか具体例を述べたら口を噤んでしまった。
「甘え下手で行動迷うとことか」
「……」
「可愛いなーと思う」
「……からかうなって」
「あら? あらあら? 影浦さんお顔が赤くってよ?」
「うぜー」
「つらい」
この流れで覇気ないとことか。
#ワートリプラス



なんともないような表情で太腿に這わされた手にぞわり。
慌てて逃げるように後退る。
「てっ、手付きがやらしい」
「よく言うぜ」
何その文脈、と疑問に思った瞬間彼の能力を思い出した。
「あっ、ズルっ」
「何がだよ」
まぁいいけど、とぼやいた彼は私の脚を枕にして寝転がった。
#ワートリプラス



ソファに寝転がってたら頭上からカゲの声。
起き上がりソファの背もたれを挟んで彼の腰に抱きついた。
細いのに男の身体してる、なんか悔しい。
「おい離れろ」
「やだー」
「潰れるわボケ」
「潰れてたまるか」
うおーと腹部に頭グリグリしてんのに案外大人しいから甘えとこう。
#ワートリプラス



大学入って一人暮らしし始めてからはよくご飯を集られた。
「炒飯とかでもいい?」
「なんでもいい」
部屋の端に荷物置くカゲが最後に鼻まで覆うマスクをピッ、と外した。
思わずじっくり見てしまう。
「んだよ」
「……嬉しいなぁと思って」
妙な色気感じるとか思ってないです。
#ワートリプラス



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