WT短編

□#ワートリプラスまとめ
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▼北添尋


「お、良いの食べてるね〜」
お弁当差し出して好きなの1ついいよと告げると彼は礼を述べ出汁巻き卵を1つ掴んで食べた。
「美味しい、手作りだっけ?」
「そうだよ」
「良いお嫁さんになれそうだよね」
ニコニコ笑顔なゾエさんに他意はなさそうだけど、顔が熱くなったのを自覚した。
#ワートリプラス



「あれ、怪我したの?」
座り込む私に北添君が心配そうに声を掛けてくれた。
「足首捻ったみたい」
「足首か〜、保健室行った方がいいね」
ここからじゃ保健室遠いからなぁ、困ったように溜息一つ。
「おんぶもお姫様抱っこもできるけどどっちがいい?」
「えっ、こ、困ったな……」
#ワートリプラス



あまりに眠くて彼の膝を借りたら頭なでなでまで付いてきた。
あまりに心地良くてあっさり寝落ち。
しばらく眠り飛んだ意識が戻った時、まだ頭を撫でている指先。
「……ん……?」
「あ、おはよ〜」
「……ずっと、撫でてくれてた……?」
「つい」
お兄ちゃんだなぁ、甘えそう。
#ワートリプラス



▼当真勇


「こいつだよこいつ、前話したネコ助」
「ふぅん」
今日は飼い主居ねーのか?と構う様子を横目に溜息。
猫に罪はないが面白くはない。
意思の読めぬ猫と見つめ合えば不意に頭をぐしゃり撫でられた。
「お前は動物に例えんの迷わねぇなぁ」
「何よ、当真も気まぐれのくせに……」
#ワートリプラス



「お? 面白いの被ってんな」
「撃ちたくなるって好評」
ターゲットの刺繍が大きく入ったキャップ帽子。
ご機嫌で見せてたら帽子越しにリップ音、
……え。
「ヘッドショ〜ット」
ニヤリと笑った彼は手を振り、撃たれんなよ〜なんて言いながら去った。
……えっ、えーっ……!?
#ワートリプラス



「あれ欲しくて、」
「射的か」
「なら当真だろ。 おい当真!」
「おっと?」
説明するとなるほどなるほど納得した彼がやってきた。
「よろしくお願いします」
「オッケー任せろ〜」
意気揚々と銃を握る。
構える仕草が完全に慣れた人のものだった。
……あれ? ちょっと、いい、かも。
#wtプラス
「銃構えてるとこめっちゃサマになってたよ」
「お、嬉しいね。 もっと早く言ってくれりゃオマケにもう1つ2つ取ってやれたのに」



スクバを枕に屋上で堂々と寝そべるサボり予備軍を見つけた。
「もう昼休み終わるよ、起きろ」
「ん〜、1限くらい大丈夫だって」
「ただでさえ成績悪いんだからサボんなって」
ぴくりとも動かぬ瞼に呆れ、当真の鼻をつまむ。
「それはないんじゃねーの」
笑われながらがしりと手が捕まった。
#wtプラス



▼穂刈篤


ターゲット模様入りの帽子が最近のお気に入り。
遠巻きの穂刈とばちっと目が合う。
「ばん」
「ぐあ!」
手の銃で撃たれ、その場に崩れ落ちる。
「良いなノリ」
「ありがと、帽子貸そうか?」
「やめておく、似合わないからなオレは」
「そっかぁ」
「起き上がれいい加減」
「はぁい」
#ワートリプラス



「ごめん、滅多に、人酔いとかしないんだけど……」
ベンチでダウンする私を、彼は気遣う言葉を掛けながらさすってくれてる。
「先戻ってていいよ」
「放っておけないだろ病人は」
「……穂刈優しいから罪悪感募るよ〜〜……見捨てられた方がマシだぁ……」
「呼ぶか、適当な奴ヘルプに」
#wtプラス
「うぅ、良心すら聞いてくれねぇ……」
「聞くぞ飲み物なら。 パシられてくれるらしい、うちの隊長が」
「お茶をください……」



「……食うな、意外と結構」
「え、これ普通の1人前だよ?」
「イメージがあるからな、少食の。 軽いだろ体重も」
「まぁ」
「……失礼か、女子に聞くのは」
「いや言えるよ。 最近は42とか」
「軽いな、オレの負荷より」
「んっふっふ、っふ、っゲホッゴホッ」
「面白かったか、そんなに」
#wtプラス
「あぁ、私筋トレの負荷にすらなれないんだと思って……っふふ」
「食えもっと。 要るか? これも」
「いただきま〜す」



▼蔵内和紀

「あ」
ぽちゃん。
破けたポイから3匹目が逃げた。
隣から惜しいと笑う声に、戦果を差し出す。
「あげる」
「いいのか?」
「元々渡すつもりだったから」
そう言えば、彼は礼一言添えて受け取った。
「蔵内君ち水槽あるもんね」
「あぁ」
金魚を見つめる穏やかな横顔が、いいなぁと思った。
#wtプラス



「会長は写真?」
「今日はオフだったから」
「結構本格的だね?」
公園で同級生と鉢合わせた。
途中まで話しながら隣を歩いていたはずだが、
足を止めて何枚か撮っている間に彼女は随分と離れた先に。
風に靡く後ろ髪や服が目に留まり、カメラを構える。
「(……あ、綺麗に撮れた)」
#wtプラス
「写真沢山撮れた?」
「結構撮ったよ。 これとか、これとか」
「あ、これ好きだな」
「これとか……あ」
「……私?」
「すまない、綺麗だったからつい……嫌なら消すんだが」
「や、別に、いいよ」
会長ちょっと照れてる?



「私は去年凍えるタメ連中に暖を分け与えた、実績のある人間カイロ様だから任せて」
「人間カイロなのか……あ、温か」
彼の片手をにぎにぎと揉んでいたら、もう片方の手も追加で差し出された。
「人間が名字でカイロが名前なの」
「人間が名字……?」
「あ、いいですね新鮮な反応です」
#wtプラス




 
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