WT短編

□#ワートリプラスまとめ
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米屋陽介





防衛任務で登校が遅れると朝礼で連絡されていた。
雨が降り出した後の昼休み、
「やられたー」と珍しくカチューシャ外して濡れた髪を掻き上げた米屋が。
「おー良い男じゃん」
「うるせーわ」
「はいタオル」
「サンキュ」
#ワートリプラス
(うーん、結構本気で思ったんだけど、調子乗るかなー)



お祝いついでにランク戦の約束してたのに体調崩した。
「でも寝る前より楽な気がするな」
「と思うじゃん?」
薄目を開くと目の前に差し出された、38.0を表示する体温計。
「はっはっは……」
寝る前より上がってて思わず空笑い。
「休めって、約束は逃げねぇしな」
「うぃっす……」
#ワートリプラス



「ごめん、少し休んでいい?」
近くにあった喫茶店を指せば難なく彼の了解が得られた。
「冷えで関節痛みやすくて」
「あー、膝?」
「やんなるな〜もう」
「休憩で治んなかったらお姫様抱っこで帰るか」
「え、勘弁してほしいんだけど……意地でも治す……」
「冗談だって」
「知ってるよ」
#wtプラス



「ご、ごめん、こんな時間に」
冷え込んだ日曜日の夜、好きな人の家のチャイムを押した。
「今日バレンタインだったから……あの、これ」
「え、マジ? わざわざオレんちまで?」
「ちょ確認やめて」
「えーマジか、めっちゃ嬉しい」
唇を覆い隠す指の隙間から見える緩む口角、顔が熱い。
#wtプラス



授業も終わる頃、隣の席の男子がはっとして「寝てた」と呟いた。
「てかすげぇ、オレ寝ながら字書いてる、書いた覚えねーのに」
「読める字?」
「読める! でも汚えな……書き直すか……」
席が離れてからは話さなくなったが、授業中に小声でやり取りしたのは結構楽しい思い出だった。
#wtプラス





 
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