OP 短編―U―
□となり
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喉が渇きすぎで、苦しいを通り越して、痛い。
体内は乾いているのに、外は汗だく。
心臓の運動能力はとうに限界を超えていた。
「…ちょっと…タイム」
「却下」
たぶんそんな答えが返ってくるだろうなって予想はしてたけどね。
一分の隙も与えず一刀両断とは。
スパルタにも程がある。
ふんっ、と息を小さく吐き、足に力を込め飛び上がる。
足があった場所を、木刀が横切っていく。
危ない、あんなものが脛に当たったら泣ける。
弁慶だって泣いたくらいだから、私は号泣確定だ。
あれ?弁慶って本当に泣いたんだっけ?
木刀を交わしたことで安堵した故か。
それとも余計なことを考えてしまった故か。
着地した瞬間。
「お?おおっ?!」
世界がぐるりと回転して、真っ青な空が見えた。
・・・となり・・・