OP 短編―U―
□となり
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「うしっ、行くぞ」
「はい?どこへ行くの?」
「まだ修行の途中だろうが」
いやいやいや…。
ゾロってば真剣に言ってるけど、私って一応だけど怪我人だよね。
『まだ修行の途中』とか言いませんでした?
ってことは、『まだ』修行するんですか?!
「あはは、マジ?」
「マジ」
「スパルタすぎでしょ!怪我人をもっと労われ!」
「そんだけ元気がありゃ大丈夫だろ」
「キィーー!この、ドSめ!」
「なんとでも言え。行くぞ」
何事もなかったかのように、ゾロは出て行ってしまった。
きっと追いかけないと、怒られるんだろうな。
全ての人が自分と同じ体力だとか回復力だとか思っているんだろうか。
確かにこの船の人達は同じかもしれないけど、私は普通の人なんだぞ!
「全く…無茶させるなぁ」
「なら、ゾロとの修行やめたら?」
「やめないよ」
振り返って、サンジに笑いかける。
ここはダイニングだから、当然、そこの主サンジがいて、今までのやり取りを見ていた。
「言うと思ったけどね。本当に無茶すんなよ」
「ゾロがさせなければね」
「無理だな、あのマリモは無茶しかしねェし。ま、頑張れよ」
「うん!」
サンジが差し出してくれた冷たいジュースを一気飲みして、ダイニングを飛び出した。
私は以前、サンジに修行の相手をしてもらっていたので、師匠でもあるわけで。
サンジは私の秘密を知る一人でもある。
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