Style
□Style
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Style
1からだつき。姿。格好。
2服飾、頭髪などの型。
3建築、美術、音楽などの様式。型。
4文章や文学作品の表現形式。
5個人や集団など固有の考え方や行動のしかた。
プロローグ
身じろぎ一つせずに常夜灯が照らす、天井の木目を眺め続けていた。
体を動かしてしまえばベッドが軋み、音を出す。その音がひどくやましいものに思えて、アタシは体を硬直させていた。
こうしている原因は、両親にある。
「ん……」
低くこもった、圧し殺した声が耳に届く。
「んっ、あっんっ……」
声は次第に熱を帯び、鼻にかかった甘ったるい響きに変わる。
薄い壁一枚を隔てた向こう側は、両親の寝室だ。そして、何が行われているのか分からないほどアタシは、幼くなかった。
体にかかる布団を引き寄せ頭から被る。
顔を身体を、布団の外に出していたくはなかった。大気に混ざった母の甘ったるい声は、粘性を帯びてあたしを包み込む。それは、色とりどりのジェリービーンズを煮詰めたような、胸焼けしそうな甘さと、毒々しい色をしている。
その甘ったるい空気が少しでも入ってこないように、身体を小さく丸めて布団にくるまる。
いつからだろうか。両親のその行為を汚ならしいと感じたのは。
いつからだろうか。両親を、血の繋がりさえも否定し始めたのは。深い闇の中で考えた。