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□それはきっと、奇跡
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陽光溢れる大広間。
生徒達は思い思いの料理を皿に取り寄せ、朝のひと時を楽しんでいる。
そんな中、仏頂面で皿を突く少年が一人いた。

セブルス・スネイプである。

朝が苦手な彼の朝食は毎日決まってスープのみ。
いつものようにぼんやりした頭でスープと格闘していると、頭上が何やら騒がしくなった。
梟の大群が生徒達に手紙やら小包やらを運んで来たらしい。
何の変哲もない朝の風景。
しかし、今朝は少しだけ違っていた。
セブルスのところにも梟が舞い降りたのである。


(……?)


訝しげにその梟を見遣ると、早く手紙を読め、と言わんばかりにセブルスの手の甲を軽く突いた。
仕方なしにスープ皿の近くに落とされた白い封筒を手に取り、封を開ける。
中には羊皮紙の切れ端が入っていた。
手紙にしては随分粗末だな、と思いながらもセブルスはその切れ端に目を落とした。





「親愛なるセブルス・スネイプ殿


今夜8時、天文台に来てほしい。


KOG」





……。



…………。



何だこれ……?





とりあえず呼び出しをくらったことは理解できた。
もしや果たし状……なのか?
いや、それにしては敬称も付いているし丁寧過ぎる。
そもそも差出人の"KOG"って誰だ?


セブルスの脳内はクエスチョンマークで満たされ、眉間には小さな皺が浮かぶ。
さて、この怪しい呼び出し状、どうしたものか。
無視したい気持ちは山々だったが、もしこれが本当に決闘の申し込みだとしたらどうなる?
「セブルス・スネイプは恐れをなして逃げ出した」などと校内に吹聴されたら最低最悪だ。
気は進まなかったが、彼は呼び出しに従うことにした。





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