長編小説 〜Prominenceシリーズ〜完結
□Prominence
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プロミネンス
…その瞳はさながら太陽の紅炎…
燃える様にククルーマウンテンを染め上げる紅葉を、俺は独り崖上から見つめていた。
今は遠く離れているけど、必ず邂逅する…。
俺だけのプロミネンス…。
キルアは花束を燃える森めがけ高く放った。
蟻問題が片付いて随分経つ。
手掛かりは色々あるのに、俺はまだジン本人には会えていない。
でも俺達は、昔みたいに焦って後を追うというよりは、この親父探しの旅自体を楽しむ余裕ができる位大人になっていた。
親父探しの旅の途中の様々な体験のお陰で、確実に俺とキルアは心身共に鍛えられたし、何より楽しかった。
人生は長いんだ、楽しむに越したことはない。
久し振りに皆で会おうと、俺達4人はビーチリゾートのコンドミニアムに集まる事にした。
流石にハイシーズンだけあって4人部屋は家族連れで一杯だったから、2人部屋を2部屋予約してあった。
キルアは久し振りに家に帰って近況報告をするから遅れてくる事になっていた。
早めに集まった俺達三人はチェックインまでカフェに入った。
クラピカは少し痩せたみたいで、それでなくても白いのに何だか透き通る様で、怖い位綺麗になってた。
一年振りだ…。
「随分背が伸びた」
とクラピカに目を細められて、胸がドキドキした。
俺達はこの一年の報告とかいろんな話をした。
クラピカは静かに微笑みながら俺達の話に耳を傾けていた。
「レオリオは暫く大学病院にいるの?」
「そうだな〜、勿論開業したいがもっと色々勉強しなきゃならねぇ事があってな、臨床経験積みたいからもう暫く大学の世話になろうかと思ってる。
そういうお前はどうすんだ?」
「色んなところに行って回ってるとさぁ、ジンの欠片を見つけられるんだ。
最近凄くジンが近くに居るような気がする。
色んな手掛かりも見つけたし、必ず見つけ出してみせるよ!
ところでクラピカは?
さっきの話だと、残りの瞳はとうとう後一対なんでしょ?
奪還が終わったらやっとクラピカが本当にしたい事ができるね。
あんなマフィアの幹部なんてやる必要無いしさ!」
クラピカは少し首を傾むけ困った様に微笑んだ。
「…そうだな。
やりたいことか…。
大学に行って勉強するのもいいな。
ただ、恐らく隠居…かな。」
「ったく、お前も変わんねーな。
たま〜にオッサン臭い事言うよな〜。」
「やりたい事が色々あって困ってるんでしょ?
クラピカは色んな事知ってるもんねー!」
「…そうだな、もっと世界を色々見て回って森羅万象を知るのは興味深そうだ。」
「だったら、…」俺達と一緒に旅しようよ、って言いかけた時、
「…ただ、どうやらその夢は叶わないらしい…。」
クラピカはコーヒーカップに両手を添えて少し俯いた。
俺の心臓がトクンといった。
「何?どういうこと、クラピカ?」
クラピカは俺とレオリオの目を見据えて口を開いた。
「…結構ヤワにできてるようなんだ、私の身体は。
…良くて後一年、
…それが私に残された時間だそうだよ。」