その他武受けnovels

□考えるのは君のこと
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※十年後・骸山髑


一人、冷たい廊下を歩いていると声をかけられる
溌剌としていて、優しい声と笑顔

一言二言話すと用事を思い出したのか1つ、手を振って去っていった



(最近、随分仲が良いですね)


不意に自分の内から声が響く
隠しているようだけど声音は少し面白くないと言った雰囲気を纏っていた


「…体のこと、気にしてくれる」


自分の感情を押し殺すのが得意な人だけど
10年近く一緒に体を共有していれば少しのブレもお互いに分かった

そのことをあまり良く思ってない人だけど


(君は、彼が好きですか?)

「うん、好き」


あ、また、ブレた。


(きっと、彼も君みたいな子の方がいいんでしょうね…)


自嘲気味にいう言葉が少し面白くて
悪戯をしてしまったのだが、ちょっとスパイスが強すぎたらしい


「山本武…」


先程まで言葉を交わしていた相手の名前を呼ぶ


「いつも最初に、骸様のこと聞く…」


毎回、毎日、少し心配そうに


―今日、骸調子どう?―


慈しむようにさり気なく
勿論大丈夫と告げれば自分の事も聞かれる
それに対しても大丈夫と伝えればいつもあの笑顔を見せてくれる


「…」

(…)

「……」

(…クローム、明日少し体を借りてもいいですか?)

「一泊二日、お触り禁止」


気管の詰まる声が盛大にする

(ごほっ、どこで教わったんですか?)

「ボス。こう言われたときにはこう言えって」

(どんだけシックスセンスぱないんですか)


クスクスと今度は楽しそうに笑う
久しぶりに聞く笑い声に

折角だからちょっとくらいのタッチは見逃そうと考えながらまた廊下を歩く


(しかしクローム、さっきのは本当なんですか?)

「本当、でも…」

(?)

「骸様も好き」

(ありがとうございます)



二人で楽しそうに過ごすこの人と彼はもっと好き


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