その他武受けnovels

□なけなしの攻防戦
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※DV・暴力あいやー表現有り
 ミルフィオーレがボンゴレと同盟ファミリー設定(10年後)





いつも飽きなく健気に君は此処に来る


『なけなしの攻防戦』


冷えた一室に2つの声が響く、重く鈍い音とくぐもった声音が寂しく鼓動した

「武ちゃんも本当学習しないよね?馬鹿なの?」

倒れ伏せている彼の髪の毛を鷲掴んで脚が震え歯を食いしばる彼の顔を引き上げる
顔には数カ所鬱血と口端から血と涎が混ざり合って垂れているが腹部の方はそれ以上の痣と傷が
残っていた、前に残したものもまだ治りきってはいない

「毎回ここに来ては殴られてるのにさ」
「ぐぁ…っ」

ゴツッ
思い切り床に頭を叩き付けてその身体を押し倒す
先程から強く握りしめていた手首は気持ち悪い程に青紫に変化していた

(ああ、これで当分使えないだろうな…)

冷めた気持ちでそう思うと優しくその痣をなぞる

(優しくしたいのに…な)

同盟ファミリーとしての立ち会いで彼と会ってから何度も続くこの逢瀬
といっても彼はただファミリーの仲介役として情報提供にわざわざこの場所へ赴いているだけなのだが
いつからだろうこんな歪んだ関係になってしまったのは

(武ちゃんが僕のファミリーだったら良かったのに…)

そしたらこの腕を脚を折ることをしなくて済むのに

「…っっ!あ゛ぁああああ!」
(あ、折っちゃった)

正確にはただ骨を外しただけなのだが
苦痛に寄せる眉間を解すように触りながら脂汗の滲む額を撫でる

僕は、彼をどうしたいんだろう

初めて彼の笑顔を見た瞬間周りに花が咲いてるような感覚に目を見開いた
ああこんな可愛らしい人間がこの世にいるんだなぁと素直に感嘆した
そんな事を思う内に彼の笑顔を誰か外の人間が特に彼の仲間である彼等が身近に見ていると思うと
その綺麗に微笑む彼の顔を歪ませてみたいと思った

(あぁ…そうか…)

押し倒していた身体から下りると怪訝な顔をしてうっすらと彼が目を開ける
だけど僕は自身の内に生まれた新発見の感情を押さえることで必死だった

「武チャン、僕は君が好きみたいだ」

ゆっくりと武チャンが身体を起こして僕を見る
ぽろっ…と透明な水球が彼の頬を濡らした


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