SD小説集

□お互い様
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※11話ネタ



「スガタはさ、何で来なかったの?人妻さんのパーティー」


寮に戻って、いそいそとお風呂に入り洗濯したてのパーカーとスラックスに袖を通すと
漸くベッドで一息つき、待ってましたとばかりに充電していた携帯を開いて想い人とただいまテレフォン中

ぱたぱたと忙しなく足を動かしてじっと相手の答えをまつ


「ちょっと用事があったんだ」


別に僕がいなくても支障はなかっただろ?と言われれば綺麗な微笑みを浮かべてる
彼の姿が自然と目に浮かんだ


「あったよ」
「なにが」
「支障」
「何かあったのか?」
「スガタがいなくて僕がつまらなかった」


一瞬の沈黙。すぐに電話越しのノイズが振動する音がする


「スガタ」
「はははっ、いや、そうか、ふふっ、ごめんくっ」


何故かおぼっちゃまのツボに入ったのか堪えきれない笑いが耳元に届く
(畜生っ顔がみたい!)

一頻り笑い終えたのかはーっと満足した声が聞こえた頃には僕の機嫌は最悪だった


「悪かったよ、笑ったりして」
「…」
「機嫌なおしてくれ」
「…」
「タークート」


駄目だそんな甘い声で間延びしたように名前を呼んだって許さないぞっ
僕は怒ってるんだから!(だが可愛い!)


「…」
「切るぞ」
「わあああああ!それだけはやだ!」


そりゃ明日学校で会えるけど、ただでさえ今日の放課後はずっと会えなかったのに
まだスガタと喋り足りない!
うっかり前のめりになって両手で携帯を持ちそれだけは勘弁と懇願する
おそるおそる耳元に再度携帯を押し当てるとどうやら口を開いた僕に満足したのか話の続きを始めた



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