SD小説集
□水
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*美味しい水曜日*
早めにアラームをかけた携帯よりも先に起きる
目覚めは良い方だ、一発でぱっちりと起きた目を動かしながら直ぐさま仕度をする
(あそこの交差点を右に曲がって、坂を登って…)
歯ブラシを口にくわえたまま制服に袖を通すと昨日通った帰り道を何度も何度も思い出す
寝癖が付いてないかいつもは気にしない髪型を整えながら急いで部屋を出た
早く、早く彼に会いに行きたい
(そんで顔見て謝る…っっ)
縺れそうな足を精一杯動かして、交差点は白い線だけ踏んで、ぶつかりそうになった猫には大声で謝った
胸が高鳴る、それは確実に走ってるからだけが理由じゃなかった
***
彼の家まで15分着くのを5分で着いた
いや、正直こんな早くつかなくて良かったのだが足が動いてしまったから仕方ない
「さすがに、まだ出てこないよな…」
7時ジャスト。部活に入っていれば朝練などあるだろうがスガタはどこの部活にも所属していない(噂で聞いた)
(思い切ってチャイムならして…いやでもまだ寝てたら悪いし)
勢いだけで来てしまった分いざとなると慎重になってしまい
馬鹿でかい豪邸を目の前に途方に暮れていると
「何してるんだ」
「…っっっ!!」
ばっと後ろをふり返ると制服ではなく袴に身を包んでいたスガタが立っていた