SD小説集

□土
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その日の夜は、初めてスガタに会ったときを夢に見た


後ろに見える空がスガタの青色の髪と同化して


今にも消えてしまいそうだった





*はちゃめちゃな土曜日*





未だにデジタルなテレビからお天気お姉さんが今日は一段と冷え込むと教えてくれたので

タンスの奥からファー付きのジャケットを引っ張り出した

久しぶりに日の目を浴びたジャケットは防虫剤の香りがする


「あと、は…」


時計はつけた、冷蔵庫に隠してたへそくりは財布の中へ、いつもは無造作ヘアーの髪型も整えた(しかしその変化は本人にしか分からない)

服はジーパンに黒のTシャツの上に赤のTシャツを重ね着したものとさっきのファー付きの渋緑のジャケットとシンプルなものだ

というかまともな私服がこれくらいしかないのでしょうがない

何回か年上の女性からバイト中にプレゼントされたことはあるが丁重にお断りしてきた


(そんな高いの貰えないしね…)


戸締まりとガスの確認をするとスニーカーを履く

ドアノブに手をかけた所で先程から五月蠅い心臓を数回深呼吸して落ち着かせる


「…よしっ」


いざ出陣!と込めた意気込みと共に思い切りドアを開けると、


ゴツッッ





***





「ごめんってスガター」

「…」

「まさかドア前にいるとは思わなかったんだよー」


目の前の背中を追いかけながら謝罪の言葉を投げかける

先程いざ出陣!と勢いよく開けたドアがその時まさにチャイムを鳴らそうとしたスガタの顔面にクリーンヒットしたのだ

蹲るスガタを見て直ぐさま謝って家の中に冷やす物を取りに行こうとしたら「いい、いらない」とスガタは立ち上がって歩き始め今に至る


(うぅ…折角スガタと遊べるのに怒らすとか…)


漸くスガタに追いつき、表情を伺うために顔をのぞくと


「…なに笑ってんの」

「ぷっくく…いや、お前のあわてぶりがおかしくて、」


抑えが効かないと綻ぶ口元を隠してスガタは笑ってる

その瞬間安堵とちょっとした憤りがむくむくと沸いてきた





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