その他武受けnovels

□タイミングだけは良くて
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「お、やっぱ骸じゃん!大丈夫な?」

「やはり貴方ですか」


また、ため息が漏れた
自分が彼の逆巻く雨に護られている間に先程の敵は半分ほどに減っていた
しっかりと、生きたまま地面に這い蹲っている


「さっさと逃げよーぜ!」

「って、逃げるんですか」

「だって流石にあの数はきちーだろ」


ははっといつもの困った顔で笑われては何とも言えなかった
動きの鈍い自分に焦れたのか自分よりも熱を持った掌が自分の腕を掴み引っ張り走る


「どうして分かったんですか」

「んー何か髪長の長身イケメンが黒ずくめに追われてるって噂が…」

「妙に細かいですね」

「まさかなーと思って来てみたら骸だもんな」


疲労している脚に鞭打ちながら彼の背中で揺れる刀を見つめる
あれが人殺しのものだと誰が思おうか、軽やかな音をたてるそれはそんな重みを感じさせない
羽のように翔る彼に引っ張られ、今にも脚がもつれそうになる


(ああ…本当、タイミングが良い…)


情けないことにそこで視界は沸き上がる熱にオーバーヒートしたようにブラックアウトした








額に冷たい感触を覚えて覚醒する


「あ、起きたか?」

「…手間を取らせました」


自分が寝ているところが白いベッドの上ということからあの後彼によって
ボンゴレ基地に運ばれたのだろう

頭は金槌で殴られたようにガンガンと鈍痛がする


「でも風邪だったんだな」

「詳しく言えばクロームが、です」


近頃寒い日が続いているというのに夜間行動をしすぎたせいと
力の使いすぎで前日高熱がでてしまったのだ

僅かながらその影響を自分も受けてしまった


「クロームは大丈夫なのか?」

「今は奥でゆっくりと休んでいます、夜には目を覚ますでしょう」

「何か他にいるもんある?飯とか」

「残念ながら食欲はないですね」


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