その他武受けnovels

□ギフト
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文句をぶつぶついいながらドアを開ける


「お、その顔は寝てたのか?獄寺」


「なっ!」


目の前にいたのは昼間怒鳴って逃げた相手だった
今の今まで走っていたのか肩で息をして頬も紅潮している

どうしたんだ、といおうとする言葉は目の前に差し出された紙袋に制された


「これ、獄寺のもう壊れかけてたろ?」


そういってニコッと笑う相手はいつもの山本そのものでとりあえず
差し出された紙袋をあけた


「これ、」


出てきたのは獄寺の今日壊れたシルバーアクセと同様のものだった
これはもう生産されていなくてある店と言えばかなり限られる


「獄寺、気に入ってたみたいだったから」


「つか、お前これどこでみつけたんだよ」


自分も気に入っていたのでずっと探していたのに


「ん。同じクラスの女子の兄貴が行ってる店に一個だけ残ってるって聞いたからさ」


じゃぁ昼間のあれは・・俺の為?
そう自覚すると昼間の自分の行為が恥ずかしく思う


「わ、悪かったな・・昼間」


視線を下に向け、小さいながらはっきりと言う
こんなんじゃ、許してくれる訳ない・・。


「あれ?何か獄寺俺に何かしたっけ?」


「はぁ!?」


お、覚えてないのか?あんなに怒鳴ったのに・・


「いや、もうこれ買おうってことしか頭になくてさ。」


だから覚えてないのな〜と陽気に言われると一気に脱力する
そしてなんだか自分の中の感情に気付いてきた


(好きなのか・・)


そう自覚すると面白くて少しふきだす


「な、なんか変か!?」


その様子に必死にあわてる山本の姿が更に面白くて自分の背をドアによりかける
目の前にいる自分より背の高い彼の腰を抱きよせると


「覚悟しとけよ、野球馬鹿」


といって今日初めて満足した笑みを彼に向け
感謝の気持ちを耳元で囁いた







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