SD小説集
□日
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「あら、今日はなんだか元気がないわね」
いつも日曜のランチを食べに来てくれている彼女に目があった瞬間言われた
緑のロングヘアーと清楚で大胆な服装が印象的な彼女は一見年上に見えるが実は同い年ということを知って驚いたのは最近のことだ
「…ご注文は」
「本日のメニューでお願い。その顔からすると恋の悩みかしら?」
うっかり注文書に走らせていたペンが止まる
席に座っている彼女を見ると図星ね、ふふと微笑んでいて観念した
「そんな僕顔に出てる?」
「そうね、タクト君のことが好きな子ならすぐ分かっちゃうわね」
そんな事を言うが彼女には20も年上の恋人がいるし、左手薬指にはその証があるのを忘れてはいけない
「それで、タクト君ほどの鈍感君をそんな顔にさせちゃう子ってどんな子なのかしら?」
「僕って鈍感ですか?」
「えぇ、とっても。それで?」
にっこりと笑みを浮かべて問いかけられる。話をそらそうとしたがどうやら答えるまで逃がしてはくれないらしい
数秒おいて言葉を出す
「…すごい、勝手なやつ」
「あら、」
腕を組んで目を閉じればすぐに彼の姿が浮かび上がってきた
「いきなり変な事頼んでくるし、上から目線だし、お嬢様気質だねあれは」
ぼくらにとってはじまりの月曜日
スガタが僕に一週間限定のバイトを持ち出した日
空腹と金欠からの救命処置の為に前後不覚になりながらその手をとった日
僕の人生がぐるりと変わった日
「あと意外と自分の事言われると怒る、なのにそれを隠したりしてよく分かんない」