その他武受けnovels

□そっけなく過保護
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※十年後

荒くなった息を落ち着かせる


痛みに疼く腕をスーツの革越しに握りしめると
掌を伝って赤い小さな水滴が地面に染みこんでいった


(しくったのなー…)


もともと過激派だったファミリー同士の仲裁の為に来たのだが
実際来てみればこの様で、すでに攻防は始まっていた

止めようとしたのはいいもののどっちのファミリーにも信用されず
殺さずに戦っている最中である


約5時間が経過
流石に自慢の持久力も底をつく


肩幅以上はある木の幹に身を預けて苦手な頭で考える
ここはやはり親友に知らせるのが得策だろう
胸ポケットに手を忍ばせると


(あ、携帯…落とした)


「見つけたぞ!!こっちだ!」
「やべっ」


見張りにつけてた燕に気付いたのか複数の足音が一斉にこちらに向かってくる
覚悟を決めて刀を強く握りしめた


その瞬間金色の影が視界をよぎる


「う、うわぁぁぁっ!」


茂みから出てきたファミリーはその雄々しい姿に恐怖し一目散に逃げる
中には負けずと襲いかかる者もいたがその牙の餌食になるだけだった

敵を蹴散らし静かになるとその胴体がこっちに来る


「お前、確かうわっ」


不意打ちに襟首を掴まれるそのまま横倒しにされて
訳が分からず起きるとふいっと自分の背を見る


「乗るのか…?」

小さな唸り声
肯定のようだ
 

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