時番外
□時越/ひとつの出逢い
1ページ/1ページ
闇色の影…それはどこにでもいて、誰かを闇に引き摺り込もうとしている。
幽霊とか妖怪とか精霊に近い存在なんだと思う。
だって他の人には見えないんだもん。
了にだって見えない。
天音だけが見える……天音だけが分かる危険信号。
その日、近所の男の子がアイツに連れて行かれた。
トラックに跳ねられて……跳ねられる直前、彼の背後であの影が天音に微笑んだ…そう…次はお前だって言うように…。
「子どもがマジマジと見るもんじゃないんじゃないのか?」
その声に驚いて声のした方を見ると茶色い髪のお姉さんが事故が目の前で起こったにもかかわらずのほほんと立っていた。
「誰?」
「おいおい、名を聴く前に名乗るのが礼儀って奴じゃないのか?」
小学生にそんな事を言う…高校生くらいのお姉さん……。
でも…なんか普通の人と違う気がする。
「獏良天音……」
「バクラ?…ふぅん、お前が…あぁ、あたしは藤宮香だ…」
「カオル……不思議な人だね」
「よく言われる…でも、あたしからするとアンタの方がよっぽど不思議だけどね」
「……カオルはあれ見えるの?」
「一応は、でもあたしには寄って来ないね、殺しても死なないから」
「ふぅん」
それは今思い出すとかなり血生臭い出逢いだったけど……。
同じモノが見えている人に出逢った。
その人の器は測りきれない……底が見えない。
「…リングより危険なんじゃない?この子」
「何?」
「あぁ…こっちの話だよ、天音」
「ふぅん……カオルさぁ了知ってるでしょ?」
「あぁ…天音の兄さん…だね」
「うん、手ぇ出したらカオルでも消すから」
「おぉ怖い怖い」
カオルはそう言いながらケタケタと笑っていた。
救急車の音が遠くの方から聞こえてきた。
[1.5]
遊戯王『時』ver.
天音は最強。
そして宿主(兄)大好き。
カオル(2代目)と天音の出逢い話なり。
[2010.5.21]