short book
□構って欲しい
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「ふぇふぇふぇ・・・ふぇいたん!!」
「ぶはっ、なんだそれ!!」
思わず噴き出したフィンクスに「くしゃみ」と答えながら鼻をかむ。
少し離れたところで本を読んでいたフェイタンは、聞こえているはずなのに全くこちらを向こうとはしない。
ちらっとフェイタンの様子を確かめながら、フィンクスとのオセロを再開した。
- 構って欲しい -
「・・・っだーまた負けた!!」
「フィンクス弱すぎー。」
「大して差ねえだろ。なんでだーなんで角取ってるのに負けるんだ俺!」
「ほほほほ。角なんか取らなくても勝てるのよ。フィンクスさん。」
「くそっ。次コルトピ!勝負だ!」
「え、僕?」
二人の勝負を観戦していたコルトピに勝負を持ちかけるフィンクス。
コルトピに場所を明け渡すと、意味も無く逆立ちをしながら場所を移動し始めた。
少しずつ移動しながら小さな声で歌う。
♪ふぇふぇふぇいたんだいばくしょー
♪ふぇいたんがーよなべーをしててぶくーろあんでくれたー
♪ふぇいたんふぇいたんふぇいたんたん
「ふぇっくしょっ」
あ、しまった
ふぇいたんって言わなきゃいけないんだった
ぶつぶつと一人で呟きながら、逆立ち移動を続けていると突然進路を妨げる障害物にぶつかった。
誰かの足が見えたので、逆立ちしたまま方向転換をしてその人物の顔を見上げる。
「!!ふぇいたぶッ」
すくい上げるように腕を蹴られてそのままきれいに横向きに崩れ落ちて頭を床に打ちつけた。
星が飛ぶ視界の端に、目を弓なりに曲げたフェイタンの顔が見えた気がした。
「あれ?何でこいつこんなところで寝てんだ?」
フィンクスの問いかけにコルトピも首を傾げる。
「知らない。フェイタン知ってる?」
「ワタシも知らないね。気付いたらそこで寝てたよ。」
すっかり静かになった部屋で素知らぬ顔をしたフェイタンは、発売されたばかりの本をご機嫌で読み耽るのだった。
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