short book
□2nd
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“ 私と任務、どっちが大事? ”
同じ女としてこんなことを言う女は大嫌いだ。
そんなもの天秤にかけること自体間違っている。
けど、私もたまにその嫌な女になりたいときがある。
『お前』なんて答えが欲しいわけじゃない。
ただどういう反応をするかという興味本位で。
任務ばっかりで中々会えない日が続いても聞きたくはならない。
むしろ逆で
今日みたいに一日中一緒にいれた日なんかに聞きたくなる。
愛しそうに私を見る目。
私のこと本当に好きなんだな。
なんて自惚れたことを思ったときとか。
目の前にいる私と
私以上に常に頭にいるであろう任務。
それを天秤に掛けたなら
あなたはどんな顔をするのだろう。
今は額当ても口布もない。
今のあなたの表情がよく見える。
『任務だよ。』
にこりと笑って私に口付ける。
何も言わなくても伝わってしまうというのは少々気まずい。
『でも二番目はお前。』
赤い瞳に私が映っている。
それは自分でもわかるぐらい穏やかな表情で。
普通の女にとっては不満が残る答えかもしれないけど
私にとっては史上最高の告白だ。
『一生放してやらないから。』
そう言うあなたに
“ 望むところよ ”
組み敷かれながらそう答えると
彼はまた笑った。