short book

□2nd
1ページ/1ページ



“ 私と任務、どっちが大事? ”

同じ女としてこんなことを言う女は大嫌いだ。
そんなもの天秤にかけること自体間違っている。

けど、私もたまにその嫌な女になりたいときがある。

『お前』なんて答えが欲しいわけじゃない。
ただどういう反応をするかという興味本位で。

任務ばっかりで中々会えない日が続いても聞きたくはならない。

むしろ逆で
今日みたいに一日中一緒にいれた日なんかに聞きたくなる。

愛しそうに私を見る目。
私のこと本当に好きなんだな。
なんて自惚れたことを思ったときとか。

目の前にいる私と
私以上に常に頭にいるであろう任務。


それを天秤に掛けたなら
あなたはどんな顔をするのだろう。


今は額当ても口布もない。
今のあなたの表情がよく見える。


『任務だよ。』

にこりと笑って私に口付ける。
何も言わなくても伝わってしまうというのは少々気まずい。

『でも二番目はお前。』


赤い瞳に私が映っている。
それは自分でもわかるぐらい穏やかな表情で。


普通の女にとっては不満が残る答えかもしれないけど

私にとっては史上最高の告白だ。


『一生放してやらないから。』

そう言うあなたに

“ 望むところよ ”


組み敷かれながらそう答えると
彼はまた笑った。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ