素敵小説

□月見の美しい城
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グサッァ!!!

「うわぁぁぁっ!!!」

『…まだ本調子じゃねえな…。』



「黒鋼。」

『……知世姫。』

黒鋼は 手に持った死体を捨て 知世の元に向かった。

知世の顔は ほんの少し困っているように見えた。

『敵は全員片付けたぜ。』

「黒鋼。無駄な殺生は 出来るだけ避けたいのです。」

黒鋼は ブスッと顔をしかめると 腕組みをして そっぽを向く。

『…それは、俺に殺すなっつってんのか』

「はい。」

『けっ!』



「…また無駄な殺生をしたのですか」

「お姉様…」

『天照…!?』

微かな血の匂いを身に纏い、長い髪を風に揺らめかせ 静かに立たずんでいた。

『…強くなりてぇんだ』

「……手合わせでもしてみるか?」

『!?』

剣を軽く持ち、月に照らされる好景気は 美しい…

『…やる』

二人は 同時に剣を構えた。
友世は 安全な場所に行き 月の光に照らされる二つの陰を見守る。


やがて月は 雲に隠れ この世に暗黒の世界を作り出した…

その瞬間、二つの影が同時に動き出し、刃と刃がぶつかる音が鳴り響いた。


それと同時に二人は 弾き飛ばされ、地面に着地するが、片方の影が着地に失敗し よろめく。

その隙を見逃さんと もうひとつの影が素早く移動し、首元に剣を構えた。

「…勝負あったわね」


やがて月は 雲から顔を出し、この世界を照らし出す…


二人の姿を確認すると 友世は にっこりと笑った。

「お姉様の勝ちですわね」

『…くそっ!』

「強さとは 勝つ事だけではない。強さは 色々ある。よく考えなさい。」

そう言って 重い鎧を1つはずし、場をさっていった。

黒鋼は その場に座り込み、何かを考え込んでいた。

友世は そんな彼にそっと近付き、しゃがみこんだ。

「…黒鋼。中へ戻りましょう」

『…』

黙ったまま友世の手に引かれ、城へ 戻った。



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