短編夢小説

□争いばかりの世界で
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次元移動をした小狼一行。
いつものようにモコナの口から吐き出された一同は、その場の悲惨な状況に大きく目を見開いた。

「・・・・どうなってんだ?」

そう呟いたのは黒鋼。
彼の視線の先にあるのは、崩れた建物の下敷きになっている数名の男女。
他の建物も崩壊しているものが多く、その街は何者かに襲撃されたような惨状だった。

「一体、この街では何が起こっているでしょう?」

小狼は周囲の状況を注意深く見渡した。
瓦礫に埋もれているのは、まだ幼い子どもから老人まで男女問わず年齢層は幅広い。
が、よく見ると子どもや老人はともかく若い者はそれぞれ武装した恰好をしているようにも見える。

「もしかしてこの国、戦争の真っ只中なんじゃないかな――」

「・・・・戦・・争・・」

ファイの言葉に、さくらの表情が一気に蒼白になる。
彼女の頭の上に乗っていたモコナは、悲しげに顔を歪ませた。

「・・・・モコナ、戦争きらい・・」

その言葉に一同はそれぞれ背定の反応をみせる。
戦争が好きな人なんて、滅多にいないはずだから。

「モコナ、この世界に羽根の気配は」

小狼が尋ねた。
瞼を閉じ、モコナは辺りに神経を研ぎ澄ませる。

「ううん。この世界に、羽根はないみたい」

「だったら、戦争に巻き込まれないうちに早くこの世界から移動した方がいいんじゃないかな――」

目を細めて、ファイは以前は建物だったであろう瓦礫を見据えた。

この世界はかなり危険な状態だ。
今は争いがおさまっているみたいだが、いつまた争いがおこるかはわからない。

ファイの意見に同意して、モコナは次元移動をする為の魔法陣を出現させた。
背中に翼をはやし、口を開ける。

その時だった。
耳障りな警報音が小狼たちの耳朶に響きわたる。
その音に呼応するかのように、金属で覆われた飛行物体が数体空に出現した。

「・・・なんだ、あれは」

見たことのないそれに、黒鋼が目を瞠る。
円を描くようにしながら、それらは彼らの上空をぐるぐると飛び回っていた。

「モコナあれテレビで見たことある!戦闘機っていってね、すっごく恐い機械なの」


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