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□【PRECIOUS TIME】
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「ねぇ剛、こん時の事覚えてる?」
その一言が、過去へと続く始まりの言葉。
―PRECIOUS TIME―
G.Morita×K.Miyake
楽屋の片隅に
"スタッフさんが編集してくれてさぁ、誕生日プレゼントにって貰ったんだー"
持ち込んだVIDEOを見ながら、思い出に浸る男が1人。
俺に背を向けたまま、TVの中で歌い踊る十代の俺達に見入ってる健は
今きっと、タイムカプセルを開ける時みたいなワクワク顔をしてるに違いない。
「あ?……あぁ、俺が間違えてお前のマイク取っちゃったやつだろ?」
「そう!こん時マジでビックリしたんだよねー、俺。」
「……………なぁ、そんなん見てて楽しいか?」
俺は、過去を振り返るってのが昔から好きじゃない。
今の自分から逃げてる気がして、過ぎた去った時にすがってる気がして、何だか情けねぇ気持ちになるから。
「剛、昔から懐かし映像とか見んの嫌いだもんね。」
「なんか過去ばっか振り返んのって情けなくね?」
「そうかなぁ……俺は色んな事考えられて好きだけど。」
「色んな事?」
「そう。なんかさ、こういうの見て色々あったなーって思い出す度にV6で良かったって思えんだよね。」
「は?」
「この5人とだったから俺ここまでやってこれたんだろうなーとか、これからもずっと6人でやってけたらいいなーとかさ……色々。」
いつもなら馬鹿にするような健の言葉に何も言えずにいたのは
きっと、俺の中にも同じ想いがあったから。
「あれ?今日はバカじゃねーのとか言わないんだ?(笑」
「……まぁ、誕生日位バカ扱いしないでおいてやるよ。」
「へぇー、気持ち悪っ。」
「うるせーな。」
振り返るってのも、きっと悪い事ばかりじゃない。
思い出はきっと、大切な何かを思い出す入口。
過去はきっと、6人で繋ぐ未来への入口。
だからこそ
「ねぇ、今日誕生日祝いに飯おごってよ!」
「あ?……あぁ、じゃあ皆誘って6人で行くか。」
「……………剛。」
「あ?」
「剛ってさ、実は俺らの事大好きでしょ?(笑」
「……バカじゃねーの(笑」
「ちょ!今日はバカ扱いしないって言ったじゃねーかよ!」
「もう忘れたっつーの(笑」
6人で過ごすこの今が、俺の最高に大切な時。
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