まずは「抑欝状態」と「欝病」の違いについて、抑欝とは、健康な人間でも誰もが経験するもので、仕事でミスをしたり、人間関係が上手くいかなかった時に重く沈み込んだ気分になる事で日常によくある一過性のものです。ところがこの抑欝症状の程度が極端に強くなると欝病と診断されます。

鬱病(大鬱病)
鬱病とは、厳密に言うと、気分が落ち込む鬱状態が単独で発症する「単極性障害」を言います。
抑鬱状態が2週間以上続いた場合鬱病と診断されます。
「心の風邪」と言われる位、かかる確率が高い病気で、生涯の内約20%、男性は約10%程度が鬱病にかかると見られています。また、神経症レベルのパニック障害や、適応障害、身体表現性障害(体の異常ではなく、心の悩みから腹痛、胸痛が現れる)摂食障害、アルコール依存症、人格障害等でも、鬱状態が現れます。
そう言った意味で、誰にとっても、人事では無い病気だと言えます。

治療法としては、薬物療法と精神療法=認知療
、行動療法、対人関係療法がよく行われます。
認知療法は、否定的な見方等の「認知の歪み」に焦点を当てた治療法です。
患者本人に歪みを気付かせ、歪みを修正して柔軟で肯定的な考え方を発展させ、ストレスに影響され憎い性格に変えていきます。
実際の行動を通じて社会に適応して行く事を学ぶのが行動療法です。
その人に取って気分が変わって元気が出る動作を積極的に見つけ気分が沈みそうな時に意識的にその行動を取り、鬱病を防ぎます。
最近では、認知療法と行動療法を組み合わせた認知行動療法が広く行われています。
対人関係療法は、患者が現在抱えている対人関係の問題の内一つか二つを面接によって解決していきます。
電気けいれん療法 薬物療法で効果が見られない場合や、自殺が心配される時に、選択される療法です。百〜二百ボルトの電圧を頭部に通電し、人口的にけいれん発作を起こします。最近では、筋弛緩剤を用いてけいれん発作を起こさせない事もあります。

季節性鬱病
近年では、花粉症に悩まされる人が増え「春になると憂鬱」と言う人が多くなっていますが、花粉症の様にはっきりした理由が有る訳では無いのに、その季節になっただけで気分が落ち込む人もいます。主に秋から冬の"物憂い季節"に、体がだるい、朝起きられない(睡眠時間が長くなる)やる気が出ない等の鬱状態が現れます。特徴として、脳を含めて身体には異常がなく、心にも深刻な訳ではないのに、肌寒い季節になると、鬱状態になってしまい、春から夏になると自然に治ってしまいます。治療法として、身体に人工の光を照射する「光療法」があります。朝2時間程2千5百ルクス以上の光を当て、メラトニンの分泌を抑えます。

微笑み鬱病
自分が鬱状態である事を、微笑みで隠そうとする状態を言います。本人は辛いのに多くの場合、話しかけるとニコニコと愛想良く応答し、一見元気そうにみえます。特に怖いのは、表面的に普段と変わりなく見える為に、周囲の人が異変に気付かず、治療が遅れてしまう事です。ある日突然蒸発、自殺すると言った最悪の結果を招きかねません。

仮面鬱病
鬱病という本当の病気が、腹痛、頭痛、下痢と言った身体症状の"仮面"にカモフラージュされた状態を言います。
鬱病の1タイプであるにも関わらず、憂鬱な気分について、あまり自覚せず、人にも訴えません。その為本人はまず内科等で様々な治療を受け、体調不良が改善されず、最終的に精神科等に受診し、結果鬱病が進んでしまい、重症に陥る事も少なくありません。

反応性鬱病
欝病は次の3タイプに大別されます。まず、体の病気から欝状態になる「身体因性欝病」次に体質や性格から発症すると考えられている「内因性欝病」そして心理的ストレスやショックが引き金なって発症する「心因性欝病」です。
反応性欝病は、心因性欝病の代表的なものである出来事に過剰に反応する事から起きます。

躁病
睡眠をあまりとっていないのに仕事等苦もなく続ける等活動性が異常に高まったり、いつもより多く喋ったり、急に怒りっぽくなったり、気の大きい事を言って何千万円もの買い物をしてしまったります。

欝病、操病の2つの状態は、当人にとって負担が大きい出来事を機に生じる事が多いのですが、薬物の影響、脳内の神経伝達物質や内分泌系の異常等様々な原因が考えられています。

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