☆ノーマルカップリング集☆
□オマケ付きデート《大樹》
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「ほんっとアンタってつまんない男ね」
「淡泊すぎるのよ」
「私のことなんかどうでもいいんでしょ。」
「あなたが何考えてるのか全然解らないわ」
等々。
これまで付き合った女に何度似たような台詞を言われただろう。
それが原因で別れる事になったとしても、それほど引きずることもなかった。
決して相手の女性がどうでもよかったとか、愛情を感じていなかった訳ではないのに…。
もともと、何に対してもそれほどの執着やこだわりが自分にあるとは思えない。
仕事も、趣味も、友人も…恋人も。
…やっぱ、薄情者なのか。俺。
自分の事を分析すればするほど、そう思えてならない。
それはさておき
最近、恋人が出来た。
が、おおっぴらには言えない。
何故なら……
「先生?」
「あ…ああ。悪い。ぼーっとしてた。」
「もう!まだ仕事溜まってるんでしょ?早く終わらせなきゃ。」
言って、可愛い顔をわざわざ怖い表情にしてプラムは保健室のベッドを整える手を休めた。
この娘が、最近出来た恋人。
栗色の長い髪を今日は一つに束ねている。
制服についている高章は一年生という事を示していた。
つまりは、まだ彼女は16歳なのだ。
俺は26。その差は10歳。
…犯罪だよなぁ。
「いやぁ。しかしそうは言うけどねプラムちゃん。かなりがんばったのよ?これでも。」
マジな話、明日の特別講義の準備や保健室の資料のまとめ、備品のチェック、来室した生徒の名簿記入及び保健室利用カードの制作。
その合間に来室した生徒の処置。
割と頑張りました。今日は。
「…早く終わらせて、今日は…デートなんだからね!」
こっちを見ずにそう言うプラム。
多分照れているんだろう。
…新鮮。(笑)
先日、プラムのほぼ一方的ともいえる決定に従い、今日はデートだ。
…デートではあるのだが……。
「……どういう事ですか。これは。」
かなり不機嫌なプラムの声。
怒ってんなぁ。
まぁ、なんで怒ってんのかは痛いほど解ってるんだけど。
「どういうことって。
申し訳ないけど、保護者同伴。」
「可愛い妹の為とはいえ…。こっちの都合も考えたらどうだ。」
こちらもかなり不機嫌な様子のクェーサー。
いや、マジで無理言ってすみません。
「だから、一応君はまだ16歳なの。俺は君の学校の養護の先生なの。…わりと問題アリなのよ?俺らの関係。」
「でも!こんなの違う!お兄ちゃんも一緒なんてデートじゃないよ。」
完璧にご立腹な様子のプラムの主張はかなり素直に頷けるのだが。
まぁまぁ、せっかくだし、
となだめてかなりやるせない表情のクェーサーを引き連れて、彼女の見たがっていた映画を鑑賞した。
映画の内容はかなりベタなラブストーリーだった。
正直あくびが出るのを我慢していた状態だったが、隣で真剣な顔で映画に集中してるプラムを見ると
まあ、いいか、と思えてくる。
ラストシーンでは可愛い事に涙なんか流して。それを何とはなしに親指で拭ってやると、プラムは照れたように笑った。
可愛い。
ちなみに、クェーサーはというと
映画が始まってから、内容に興味をそそられなかったらしく
ほぼ冒頭から終わりまで爆睡していた。
その後、映画で機嫌が直ったのか
笑顔のプラムにほっとしながら少し買い物に付き合う。
服を選んであれにしようか、これにしようかと悩む姿も可愛い。
途中クェーサーに「そんな服を着るのか」と言われて、
「お兄ちゃんは黙ってて。」
と一蹴していた。
クェーサーにそんな口きける女の子はプラムくらいだろうな。