○ライヤ×レオンシリーズ○
□★意地悪な相棒・番外
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高2の秋。
教室でライヤが告白された。
当然断ると思っていたその馬鹿らしい告白に、アイツはあっさりと頷いた。
(―――何オッケーしてんだよ、グズ)
舌打ち一つ、教室の窓の外を眺める。
グラウンドでは平和そうに次の授業準備をしていた。
あいつ等次は体育か、と若干羨ましい気持ちに駆られながら教室へと視線を戻すと。
大量の女共に取り囲まれ泣きつかれているライヤを目にする。
(……なんだ、アレ)
アイツの本性を知って居る俺は、鼻で笑い飛ばして肘を付き、その様を傍観していた。
基本、ライヤは人間が嫌いである。
理由は色々あるんだが、日を追う毎にアイツは笑顔で人を馬鹿にするような奴になっていった。
小さくて、大人しくて、優しくて、極度の人みしりで、泣き虫。
虫を殺すのさえ躊躇してしまうお人よし。
俺は女みたいだと周りが馬鹿にしている、アイツの情けなくて人が良い所がとても好きだった。
アイツは昔から俺が居ないといつも泣かされていて、それを見つけた俺はいつも助けてやって居た。
そんなライヤが歪みだしたのはいつだっただろう。
少なくとも目覚ましい高校デビューを果たした頃には、泣き虫で人みしりなライヤはどこにも居なかった。
未だにあの記憶を引きずって居る人間は、もう俺しか居ないだろう。
……中身はほとんど変わってないのにな。
周りがライヤを評価して、たちまち奴は人気者になって行く。
奴にとって身を守る為だった発想の転換は、奴が思う以上の反響を呼んだ。
しかしアイツの根強い人みしりと人間嫌いは直る事はなく、アイツは笑顔の下に歪んだ感情を持つようになって行く。
俺はそんなライヤを見る度痛々しくて、アイツが人を茶化す度に酷い苛立ちを覚えていた。
「ごめんな、みんな。 みんなの事が嫌いになった訳じゃないんだぞ?」
教室の中、女子の大群に囲まれているライヤの胡散臭い笑顔を横目で睨む。
俺は、あの笑顔が嫌いだった。
『どいつもこいつもどうせキャーキャー騒ぎたいだけだろ? 俺自体には大して興味もない癖に、騒いでんじゃねえよ』
アイツがそう嘲笑っている様で。
調子よく人に合わせてのらりくらり。
軽くてノリが良くて社交的。
無理ばっかしやがって……そんなのは、本当のお前じゃないだろうが。
いつかこの嘘に負荷が掛り過ぎて崩れてしまう時がやって来るぞ。
そうなったらお前は、お前自身を見失わずにいられるのか?
俺は、日ごと疑心暗鬼が増して歪んでいくアイツが危なっかしくて――とても心配だった。