復活

□五分
1ページ/1ページ

「5分」

今の君には触れられなくても十年前の君は何も知らないから、未来を知らないと言うことを免罪符に俺は君にかまうのだ。
「こんにちは、若きボンゴレ十代目。」
会釈をし、極上の笑みを貴方に向ける。
黒づくめのチビに何を言われようと
爆弾小僧に何を言われようと
君さえ驚いても、君は優しいから大概の事は許してくれるじゃない。
「また来てしまいましたね。」
ある意味で見慣れた景色を見て、また貴方の姿を見て俺は笑う。
「うん・・・ごめんね。」
「俺は嬉しいですよ。貴方に会えて。」
たった5分、十年前の君に会って
俺の心を吐露するよ。
「そう?」
「ええ、とても。」
これに続く言葉はもう言うことは出来ないから。
そして、貴方の小さな頬に優しく口づけする。
それも十年後の今はもう出来ない事だから。
それは貴方には言えないことだけれど・・・・。
俺1人が抱えていて良いことじゃないから、少し卑怯かもしれないけれど、君が笑うから、それだけで又十年後に戻れる。
「それでは・・失礼しますね。」
「じゃあね、ランボ。」
貴方の言葉に笑顔で答える。
5分。それだけ、なんのしがらみもない君に出会える時間。
幼い俺
幼いが故に尊さを知らない俺。
十年後を見て何を思った。
10年経っても俺はやっぱり変わっていない。
だからきっと十年前の俺と今の俺は同一なんだ。
幼い俺、その時しか出来ない事をたくさん体験しろ。
いつか必ず離れ離れになる日が来るから。
思い出を忘れぬように作るのだ。
今の俺とあの人を繋ぐものを1つでも多く作るのだ。
我々は同一なのだから
「若きボンゴレ十代目。」
「ツナ。」
これは同一なのだ。
同じ感情の同じ表現なのだ。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ