復活

□お誕生日(ランボ)
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今日はなんだかみんなが不親切だった。
おかしい、なんか変だ。
というのがランボの今日という日の感想だった。
みんなそわそわ何か尋ねてもちっとも相手にしてくれない。
「皆一体どうしたんだろう?」
とっさにファミリーに何かあったのだろうか??とも思ったけれど皆の様子を見る限り緊迫したような雰囲気はない。
寧ろ平穏そのものだ。
今日に限っては連日続いた雨ですら降らず久しぶりの太陽が覗くそんな良い日和でさえあった。
じゃあ自分が何かしたかとも思ったが、これといって特に何かをした覚えはランボにはない。
うぅーんと唸って悩んでみたものの…結局何も思い付かない。
ボスに相談してみようか?とも考えたが浮かんできたアイディアをランボはしようとはしなかった。
もしかしたら自分の勘違いかもしれないしましてこんな個人的な事、ボスに言うような事ではない。
自分の事は自分で解決したいと思ったからだ。
「でもな」だからどうするという解決方手段が思い付いたわけではない。
結局堂々巡りの思考に結論などでるはずもなかった。
「ランボの様子はどうだい?」
「はいボス、気付いた様子はありません。作業の方も今のところ順調です」
側近の言葉にボスは満足気に微笑み頷いた。
「どうせなら驚かせたいしね」
フフフッと意味ありげに微笑みを浮かべるボスに対して側近も頷いた。
「そうですね」
「まぁしかしあの子が喜んでくれるといいのだけれど…。」
壮大なプランを立て実行しているというのにこのボスの発言。しかしその表情は不安よりも確信に満ちた笑みが浮かんでいた。
「きっと喜びますよ」
そうでなかったら頑張っているファミリーが報われない。
何よりボスからの贈り物を喜ばない筈がない。
二人はにこりと笑いあいった。

 夕方頃誰にも相手をされていなかったランボは不意にボスの執務室に呼ばれた。
「執務室」という場所はランボにとって緊張する場所だ。何故ならとても良いことがあるか、とても悪い事があるか…どちらにせよ普段は呼ばれることのない所だった。
そして今のランボからしてみれば悪い方で呼ばれたに違いないと確信している。故にその足取りは重く、引きずる様に覇気なく扉の前までやって来た。
「俺、実は無意識に何かやらかしたんだ」
肩が落ちる自然と溜め息もでる。
ノックをするのもつらい。けれどこのままこの扉の前につっ立っていた所で何も解決はしない。
意を決し軽く三回ランボはノックをした。
「どうぞ」と言う返答に下腹に少し力を入れてドアノブを掴んで勢いよく開いた。
「Buon Compleanno!」

言われた言葉にランボは唖然とする。
一瞬言葉の意味を理解することができなかった。
「え。」
目を見開いて目の前の笑顔のボスをぼーっと見ていた。
「16歳おめでとう」
満面の笑顔のボスを目の前に怒られるんじゃなかったのかとほっとするのと同時に何を言われたのかジワジワと実感が沸いてくる。
「えっと…ありがとうございます。」
今日は自分の誕生日だったのか…そんなことすら忘れてしまっていた、なんて片隅に思いながら戸惑い気味に笑い返せばボスが
「気に入ってくれるといいけれど…皆からのプレゼントだよ。」
見てごらんと部屋の窓から外を覗くように招かれた。「あれを」
指差したのは屋敷のガーデン。
そこには目新しい棚がある。藤棚のような棚にはしかし藤ではないように見えた。
何の植物だろう…。
「葡萄だよ」
「え?」
「好きだろう?」
あの棚を何時の間にどうやって作ったのだろう。
俺のためにと思えば嬉しくてまたジワジワと胸が熱くなる。
「ありがとうございます!!俺凄い嬉しいです!」
今度はニッコリと笑顔で言えた。ランボは窓を大きく開け身を乗り出して大声で言った。
「Grazie Tante!!!」



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