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□「知らないを前提に」
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「知らないを前提に」

ああ、このまま隣に居れたらいいのに・・・
ねぇ君の柔らかな髪を撫でて小さな肩を抱いて「親友」なんて騙ってずっと笑って居れたらいいのに。

君の愛称を呼んで君が振り向くそんな日々がずっと続けばいいのに・・・俺はあんまり頭は良くないけど君の背負っているものをぼんやりとだけど解っているつもり。
君は笑って無いものにしようとしているその何かがあることを知っている。
それはきっと隣の灰色の髪のアイツとかちびっこいアイツとかが関わっていて君は俺を「そのこと」には近づけたくなくて必死になっていることを知っている。
俺は君に関わることなら何でも知りたい。
けど、君は知られたくないみたいだから俺は知らない振りをする。
君が嫌がることは基本的にはしたくない。
君が受け入れてくれる俺が理想だから。
だけど、「ごっこ」遊びと称して君が心配するのを余所に無理やり関わって参加する。
知らない振りをして君の秘密を俺は暴くんだ。
知りたい欲が俺にはあるから。
俺は君のことが誰よりも知りたい君の隠したいこともささやかな笑顔の深いところとか、とにかく君のことが全部知りたくて、あの金髪の叔父さんより小さな牛の小僧より近くに居たくて、そんな時俺ってなんて心が狭いんだろうとか思ったりもするんだけど、それよりやっぱり君のことが知りたくて・・・・・・・・・・もう心が狭かろうが広かろうがとにかく君のことが一番なんだと最近とみに思って、そうやってぐるぐるぐるぐる考えた最後に思いつくのはこの欲は一体何なのか?ということ。
野球のことを考えるときくらい真剣に考える。
監督のサインを読む時のようにさりげなくけれどバッターボックスに入ってピッチャーの配球を読むときのように真剣に集中して・・・俺は君のこと、君を知りたいという欲の事を考える。
けれど結局何もひらめかない。
俺は頭を使う性質じゃないから自分の深層心理なんて解りっこない、と同時に自分の事すら理解できない俺は知りたい君の全てを知ることなんて出来ないんじゃないかと思ってしまう。
結局堂々巡りなんだけど、こんな俺でも解ることがある。君の隣は心地が良いって事、君が笑うと嬉しいって事君が悲しむと苦しいって事・・・・君がとても気になると言う事・・・・つまり、君が好きってこと。けど、君は俺を見てはくれないんだ。俺は常に君を見つめているんだけど君はその目を合わせてくれない。
その理由がなんとなく解るから・・・でも君はその理由すら俺には教えてくれないんだな・・・・君のそばに居たらきっと君のことがわかる気がするから俺は君の傍に居るよ。君が君の事を教えてくれなくても俺はそれでも君の傍に居るよ。
俺は結構執念深いんだ。
投げてくるボールは何時だってストライクとは行かないのは解っている。
ただ見逃しの三振はしない。配球をよく見てチャンスがあればいくらだってフルスイングするんだ。
デットボールだって恐れない君は人と野球どころかキャッチボールすらしたこと無いだろうから荒れ球なんかも投げるだろう?それも当たらないように気をつけて青空にアーチを作るよ。そしたらきっと君は教えてくれるだろう。
逆転ホームラン。俺は君の事を知りたがる。

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