復活

□call me
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名前を呼んで欲しいと、ねだったことがある。

彼はあまり名前を呼ばないから。
呼んで欲しい…と言ったら甘えていると、思うだろうか?躊躇う気持ちが過ったが彼の口からどうしても自分の名前を聞きたかった。
呼んでくれ、囁くように言った。
実際甘えるような声だったと思う。
しかし彼はじっと口を真一文字に結んだままだった。
ボス、ザンザス…呼んで。
俺は弱くなったのだろうか、彼が俺の名前を呼んでくれないただそれだけで視界が揺らぐ。足に力が入らない。
俺を呼んでくれ。
彼の胸に額を押し付ける。自分がここにいて、ここにあると、彼に呼ばれて、彼に必要とされていることを感じたかった。
長く伸ばした髪も、落とした左手も…全ては彼のため。それを認めて欲しいと思った。
だから今名を呼んで欲しいと思った。
見苦しいかもしれない。
けれど、これが俺だ。
だから、それでも良いと名を呼んで欲しかった。
呼んでくれ、ザンザス。
搾るように言った。
真一文字の口が僅かに上向いた。
スクアーロ。
一言大きくない、通る声で言った。
はっと彼を見る。
不敵に笑った顔が見える。
何一つ変わらない。
その彼が名を呼んだ。
それだけで十分だった。
見上げたままに、その厚い唇に自分の唇を擦り付けた。

end
何かをと思った割りには纏まりなくすいません。

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