鳴戸

□セブンスター
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七つ星の煙草を彼は良く吸っていたけれど、それが味ではなくて名前が気に入っているから吸うのだと言っていたのを呆れて聞いたことがある。
黒い小さな星が7という字を形作っているパッケージも気に入っていた。
黒い星なんて縁起が良くないんじゃないかと言ったけれど彼は笑って、だからいいのだと言っていた。
最後の運でラッキーセブンが出てくるみたいで、と。

セブンスター

結局お前の運は尽きてしまったよ?
ほら黒い星がいくら集まったて良い数字を形作ったって所詮黒い星なんだよ。馬鹿だな。
餞けの花束など望んじゃいないだろう?
何も遺したくはないと言っていたじゃないか…
でもアンタの名前は大きすぎるからきっと意志とは別に色んなものを遺してしまう。
馬鹿だな。
フェイクとシニカル
煙草と酒
教訓と人生持論
アンタの面影はどこにでもある。

煙草の自販機見る度に俺はアンタを思い出して笑うんだろうな。

セブンスター

薄利多売なラッキーアイテム
俺はそんな話ひとつも信じちゃいないんだ。

結局お前の運は尽きてしまっただろ?


終わり

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