復活

□mirai
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バタバタと忙しなく足音を立ててランボが入ってきた。一礼の挨拶もなくキョロキョロと辺りを見回している。
「どうしたんだい?」
声をかけてようやく人がいることに気付いたらしいランボは謝るもののどこかおかしい。
「あ、ボス…すいません…気付かなくて……」
「それは構わないけれど、どうしたんだい?何か探しているのかい?」
ランボは言いづらそうに話だした
「実は俺の角が見当たらなくて…」
しょんぼりとうなだれる肩を見るととても25歳の立派な青年には見えない。
見れば確に彼の頭にはいつもある角がなくなっている。緩いカーブの髪の毛の中にいつもなら見える白い角彼の大きな特徴でもある。
「…どこかに置いてしまったのかい?」
問えばふるふると小さく頭を振った。
ふぅむと考える。ランボが自分の大切なものをぞんざいに扱う事は無いだろう。それに大人になってもう随分経つから昔とは違ってなくすようなことも無いだろう。時たま来る昔のランボがふと頭に浮かんだ。
…可能性はなくはない。
「きっとその内見付かるよ。」
大丈夫と笑っていってやってもランボはどこか不安げに眉を寄せる。
「じゃあこれを見付かるまで使っているといいよ」
そう言ってボスは手近にあった引き出しから真白い角を取りだした。差し出された角を受けとるランボはじっと角を見つめていった。
「無くした角もこうやってボスに頂いたんですよね」
その時のことを思い出したのか今度はボスに向かって微笑んだ。
「そうだったね」
遥か昔の出来事を昨日のように思いだし懐かしさに胸が温かくなった。
「見付かるまでお借りします」
ペコリと頭を下げてランボは早速角をつけた。
「違和感があるかもしれないが我慢しておくれよ?」
体格に見合わない真白い小さな角は見慣れた角とは違って視覚的にも違和感が残る。
「そんな事ないです。」
ニッコリと笑ってランボはそう言った。
結局、数日間見付からず果ては警察にまで届け出ることになった…。ランボの行動に苦笑しつつも自分の予感が杞憂であったことに安心していた。
その矢先ボロボロの小さな君がやって来た。…代わりに消えた君。
「悪い予感は当たってしまった…」
傷付いた君を抱き上げる。
グッタリとして身動きひとつしない。過去は最早私の知る過去ではないのだ。
君の無事を祈るしかできない悪戯な運命を君に背負わせてしまっても何もしてあげられない私をどうか許して欲しい。
<終了>
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