鳴戸

□セルロイド
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珍しく俺の可愛い愛玩動物が話し掛けてきた。
これは主人として喜ばしい事ではないだろうか。
俺は素直に喜ぼうとした。
可愛い愛玩動物はまず俺の所にいる小動物の事について聞いてきた。
アア ダイジョウブ アレハ ゲンキ
殊勝にも行儀良く俺は愛玩動物に御返事する。
何時に無く笑顔な愛玩動物。
そうやってアンタは目を瞑っている。
笑顔、嘘だね?
何を考えているんだい?
何を俺に隠しているの?
教える気はないらしい。
終始笑顔。
食えない善人。
それで俺は以前考えた事を思い出す。
そう、仮定だ。
彼が何者であるか、と言う仮定。
目の前のアンタの本性は何かという話。
思い出す。
アンタは今何かを企んでいる。
俺に向かって何かを。
それがアンタの本性を曝け出す。
俺はそれが見てみたい。
何でもいいよ、俺は。
だから俺はわざとそ知らぬ振りをして
愛玩動物が仕掛けた罠に嵌ってみる事にした。
彼は程好い緊張と興奮を感じている。
上手くいったと心の中で思っているに違いない。
そうして愛玩動物の後を付いて行くと見覚えのある部屋に行き当たる。
いつかこの愛玩動物に手を出す事を教えた部屋だ。
そうして愛玩動物は俺の奴隷になったんだ。
俺は少し笑ってみた。
木偶は気付かない。
彼は彼の思惑に没頭してる様子。
しかし何をするんだろう?
そう思ったらいきなり愛玩動物がきつく抱きしめてきた。
活気的というか飛躍的というか
本当にコレは何を考えているのだろうか。
荒っぽい口付けに舌を差し出す事によって少し乗ってみる。
激しさは増し、息が荒くなる。
こういうのも悪くは無いが、他の何かがあるんだろう?
しかし荒々しい愛撫は続く。
欲情が殺気に変わったみたいだ。
獣姦されてるみたい。
笑。“されてる”わけではない。
欲情に乗せていた殺気はあからさまに感じられるほど露わになる。俺の先が濡れる。
欲情。本能の中でこれが一番強いんだ。
抱き寄せられた後ろの腕に良く磨いだクナイが握り締められている。どうするんだろう彼は。
もしかして俺を殺す気かな?
だったらなんて素敵な動物でしょう。
無知なアンタが大好きだ。
俺は噛み付くようにキスした。出来るだけ奴の舌を舐って含んだ。そして抱きすくめていた腕ごと奴を押し倒した。
俺は止まらない。萎えている奴のモノを咥えて舐ってやる充血して膨張する体積におもいっきり頬張る。先走りが滴る。
俺なりの“ご褒美”
俺を殺そうなんて大それた事を考え付いてあまつさえ実行しようとした愛玩動物への。
ねぇアンタは無力。
解った?
頬張った口の中に奴は出してしまう。俺は遠慮なく飲み込む。
そしてそこから頭を離して
「センセイどうしたんですか?いつも以上に乱れてますよ?」
と言ってやった。
そしたら愛玩動物は今にも泣きそうな悲痛な顔をする。
おかしい。
「センセイどうしたんですか?気持ちよくなかったんですか?」
俺はまた奴に尋ねる。
奴は嗚咽を漏らす。我侭だ。
俺は奴の事など一切無視する事にした。
誉めれば泣くし優しくしているのに答えないから。
俺は一人で絶頂へ向かう。
我侭な愛玩動物の事など知らない。

*****  *****  *****  *****



計画は失敗した。
俺はあの人から逃れられない。
絶望にも似た何かを感じた。

恐怖は克服できなかった。

ただ恐怖より欲情が勝った。
俺は何に負けたのだろう・・・・
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