短編集

□輝ーきらめき
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見つけましたよ


永い間ずっと捜していました。

貴女はいつも見るたびに衣裳が違うのでどれが本当の貴女なのか今だに私には解りません。

唯  同じ城に居る事だけは解りました。
貴女は私を知りません

肩が触れ合うくらいの距離で擦れ違っても貴女は私に見向きもせず通り過ぎていく、ほのかな甘い香を残して。
私は振り返り貴女の後ろ姿を見えなくなるまで見つめているんですよ。    
貴女は私を知らないでしょう。          
貴女が城の中庭ではしゃぐ姿や笑い声       
執務室から私は見つめています、貴女は視線を感じ辺りを見回していますが私だとは気が付きませんね。             
私はまだ貴女のお名前さえ知りません、一度随分と前に貴女は私を 『陸軍師様』と柔らかい声で私を呼びましたね。あの時以来私はずっと貴女を見つめてきました。                     
どの位の月日が経ったのでしょうか?       
いつもの普段の貴女からは想像さえ付かない程の豪華では有りますが清楚な衣裳をまとい尚香殿と一緒に居ましたね。       
そう  それは新年の祝いの宴の席での事でした。 
尚香殿とは違い、大勢の視線が貴女に向かれ貴女は尻込みしていましたね。  
この様な宴の席は余りお好きではないご様子ですね。
でも、貴女には申し訳ないですが私は素敵な衣裳をまとった貴女を見る事が出来て嬉しいですよ。    
文台様と仲謀殿の間に座り、恥ずかしそうにしている様子は初々しい限りです。            
ひときしり両隣の殿達と話をした後貴女は立ち上がり大広間をそっと出ていかれてしまわれましたね。  
貴女が居ない宴は私にはなんの意味も有りません、私も早々に引き上げ中庭で酔いを冷ます事にしましょう。
いつもの気に入りの場所に座り込み池に映る月に視線を向けていました。  
だいぶ月も傾き夜中を過ぎた頃、池の向こう岸に誰かが月を見上げている事に気が付きました。
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