過去作品

□第四次兎詩集
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道化師




泣かずにすむといのなら
私は道化師になりましょう
おどけることで何もかも忘れられるというのなら
本当の自分をさらけずにすむというならば
私は奇術師になってみせましょう

奇術で殺めるあとが残らないなら

感情を出さずにすむのなら
私はクラウンになりましょう
ファウストにでてきたかのように

そうでもしなければ
目から血がたれてしまう
もうこれ以上血を流したくはない

失ってしまったものの悲しみは
茨のように皮膚に食い込む
茨姫のように

ここは悲しみの牢獄
床は血の海
それは私のか
それともジャンクになってしまった
大切な者達のものか

私は切り落とされた者の片腕を抱え
綺麗にしようと
断面を白いハンカチで拭く

壁に人形のようにもたれかかるのは
今にも死にそうな
触れてしまうとガラクタのように
崩れてしまうだろう
触れたくても触れられない

血に染まった仮面を付けて
ピエロのようになりましょう
それで強くなれるというならば…
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