過去作品
□第四次兎詩集
2ページ/29ページ
道化師
泣かずにすむといのなら
私は道化師になりましょう
おどけることで何もかも忘れられるというのなら
本当の自分をさらけずにすむというならば
私は奇術師になってみせましょう
奇術で殺めるあとが残らないなら
感情を出さずにすむのなら
私はクラウンになりましょう
ファウストにでてきたかのように
そうでもしなければ
目から血がたれてしまう
もうこれ以上血を流したくはない
失ってしまったものの悲しみは
茨のように皮膚に食い込む
茨姫のように
ここは悲しみの牢獄
床は血の海
それは私のか
それともジャンクになってしまった
大切な者達のものか
私は切り落とされた者の片腕を抱え
綺麗にしようと
断面を白いハンカチで拭く
壁に人形のようにもたれかかるのは
今にも死にそうな
触れてしまうとガラクタのように
崩れてしまうだろう
触れたくても触れられない
血に染まった仮面を付けて
ピエロのようになりましょう
それで強くなれるというならば…