満月の間
□心はいつも貴女の傍に
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「…ぅん…」
抱き締められるような感覚にゆっくり意識が覚醒する。
「…っ…」
目の前にあった顔に思わず息を呑む。
「………」
望美の反応には全く気付いていないのか、静かに眠っている。
「ヒノエくん?」声を掛ければゆっくりと瞳が開かれる
「…ん…のぞみ。」
寝起きの擦れた声。どうやら、本当に寝ていたようだ。珍しく無防備なヒノエになんだか、笑みが零れる。
「もう少し休む?交易の後で疲れているでしょ。」
「大丈夫。少し休んだからね。」
「夕飯の用意をしなくちゃね。」
「あぁ。お願いするよ。」
「じゃあ、ヒノエくんはもう一休みしててね。」
ヒノエの無防備な寝顔に先程までの暗い気持ちが晴れ渡った。
早くヒノエの帰りをお祝いしなくちゃね。