満月の間
□心はいつも貴女の傍に
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「やっぱり望美の手料理を食べると熊野に帰ってきたって思えるね。また腕を上げたみたいだしね。」
「ヒノエくんがいない間に義母さまに教わったの。おいしい?」
「あぁ。すごくおいしいよ。」
食事をしながらヒノエがいない間にあった事や、ヒノエが交易でいった街について話をした。
「そうだ…望美に紹介したい人がいるんだ。」
望美は身体が強ばるのを感じた。
さっき市で買い物をしていた人だよねやっぱり…。
「結衣。入っておいで。」望美よりも少し背の高い長い髪の女性が入ってきた。
「…のぞみ?」黙り込んでしまった望美を不審に思って顔を覗く。
「やっぱり…新しい奥さんなんでしょ。」
突然の発言に目を見開いておどろくヒノエをよそに言葉を紡ぐ。
「ごめん。ちょっと部屋に戻るね…」
また泣きそうになって部屋に戻ろうとすると、ヒノエに腕を捕まれる。
「ちょっと待って。望美、誤解してるよ…。」
「えっ…」振り向いた拍子に涙が零れた。
ヒノエが優しく涙を拭ってくれる。